個人事業主の方が急な資金調達に迫られたとき、融資を申込みしても間に合わないことがあります。融資の審査には最低半月時間がかかるからなのですが、その場合役立つのがビジネスローンです。
ビジネスローンならば最短即日の資金調達も可能で、上手に利用できれば資金需要を満たせます。ビジネスローンは総じて利用可能額が低い(約1000万円)のですが、個人事業主ならば上限の低さはそれほど大きなハンディにならないはずです。
今回は個人事業主向けのビジネスローンを7社紹介します。どのビジネスローンも信頼でき、個人事業主への融資も慣れているおすすめできるところです。
いくつかご自身の希望に合うところをピックアップしていただき、いざというときに速やかに融資を依頼できるように選択肢としてください。
個人事業主向けビジネスローンのおすすめ7選
当サイトがおすすめする個人事業主向けのビジネスローンは下記の通りです。
一般的に融資(ビジネスローン含む)は個人事業主よりも法人の方が通りやすいと言われています。法人ならば会社の商業登記簿謄本が取得でき、対外的に自社について公的な「お墨付き」を得られるからであり、登記が認められることにより「社会的信用」はとても大きいのです。
そうした中で個人事業主に対しても好意的で融資を積極的に行うビジネスローン会社があります。ここでは7社、審査に通りやすい個人事業主向けにおすすめできるところを紹介していきます。審査の通りやすいことだけがビジネスローンの価値ではありませんが、1つの指標になります。ぜひ個人事業主の方は参考にしてください。
AGビジネスサポート「事業者向けビジネスローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 50万円~1000万円 |
金利(実質年率) | 3.1%~18% |
融資スピード | 最短即日 |
融資対象者 | 個人事業主、法人 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要(法人に限り代表者個人が連帯保証人になる) |
オンライン完結 | オンライン完結可能 |
決算書の提出 | 確定申告書の提出が必要 |
AGビジネスサポートは、消費者金融業界大手であるアイフルグループが展開する事業者向けビジネスローンです。2020年7月に「ビジネクスト」から現名称に改称し、これまでに15万件以上の契約実績を持つ信頼性の高い企業として運営されています。個人事業主向けのビジネスローンにも積極的で、法人、個人事業主問わず積極的な融資を行っています。
アイフルグループの一員として、安定した経営基盤を誇り、資本金1億1千万円、従業員数130名という規模を持つビジネスローン会社です。ビジネスローンを初めて利用する方でも、安心して利用できる諸体制がそろっています。
サービス内容は旧「ビジネクスト」の特徴を継承し、事業資金や運転資金の調達のため、積極的な融資を提供しています。また、中小企業や個人事業主のポテンシャルを評価するように加点評価を行っています。そのため、通常の融資を申請するよりも資金調達しやすい環境が整っています。個人事業主は関係ないのですが、一部の法人向けビジネスローンでは、代表者個人が連帯保証人となるケースがあります。
ファンドワン「事業者向けビジネスローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 500万円 |
金利(実質年率) | 2.5%~18% |
融資スピード | 最短即日40分 |
融資対象者 | 個人事業主、法人 |
担保 | 原則 動産、不動産、自動車のいずれかが必要 |
保証人 | 不要 |
オンライン完結 | オンライン完結可能 |
決算書の提出 | 車担保融資以外は確定申告書の提出が必要 |
ファンドワンはスピードと柔軟性を兼ね備えた審査で、急な資金ニーズにも迅速に対応いたします。無担保、無保証人の一般的なビジネスローン(上限500万円)は「法人限定」とHPに記載がありますが、Q&A欄に「個人事業主の方も事業内容や収支状況によっては対応可能ですので、まずはご相談ください。」とあるので、例外的な対応が取られる可能性があります。原則、ファンドワンでは個人事業主のビジネスローンは、動産(売掛債権など)、不動産、自動車いずれかの担保付き融資になっています。
ファンドワンでは最短40分で審査結果をお知らせすることが可能で、現状の経営状況にとらわれず、みなさまの良いところを加点評価し、融資につなげていきます。たとえ赤字決算や税金・社会保険料に関する課題などがあっても、資金調達が可能となる方法やメニューをご提案し、適切なアドバイスを行います。
(主に法人向けですが)大口融資にも対応できる豊富な商品ラインアップをご用意。不動産担保ローンや売掛債権担保ローンなど、さまざまな選択肢の中からお客様のニーズに合った融資を提案します。
金利は実質年率2.5%~18.00%です。ご相談時には金利について詳しく説明し、お客様が返済計画を立てた上でお申込みいただけるようサポートいたします。
また、他社のご返済中でも幅広い選択肢をご提案可能です。税金の支払いや資金繰りにお困りの場合にも対応しており、消費税や各種税金の納付準備などの用途でもご利用いただけます。事業資金に限定せず、広く事業の運営に必要な資金を調達できます。
「赤字決算」「ビジネスローンの初利用」「保証人を用意できない」などの不安を抱える個人事業主様もファンドワンを利用可能です。
オージェイ「ビジネスローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 30万円~1億円 |
金利(実質年率) | 10%~18% |
融資スピード | 最短即日 |
融資対象者 | 個人事業主、法人 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要(法人に限り代表者個人が連帯保証人になる) |
オンライン完結 | 不可能(対面必須) |
決算書の提出 | 確定申告書2期分の提出が必要 |
オージェイのビジネスローンは、銀行のプロパー融資(無担保、無保証人融資)や信用保証付き融資に通らなかった方でも審査に通る可能性があります。その理由は、独自の審査基準を採用している点にあります。
審査では財務状況や借入金、返済能力、将来性、代表者の信用力といった点をスコアリングしを総合的に評価します。また、事前に面談を実施し、必要書類をもとに丁寧な審査を行うため、安心してお申込みいただけます。オンライン手続きはできず、対面必須、店舗へお越しいただくことになります。
オージェイのビジネスローンは、首都圏内に居住し東京都中野区の本店へ来店が可能な方、銀行融資が難しい個人事業主、起業年数が浅く融資を受けづらい法人に特におすすめです。
首都圏にお住まいの方であれば、来店が容易で比較的迅速に手続きが進むのも大きな魅力です。さらに、銀行融資では必要な財務諸表が3期分求められることが多い中、オージェイでは確定申告書2期分で審査を受けられる点も便利です。
ビジネスローンとしては例外的な最大1億円までの融資が可能であることも大きなメリットの一つです。返済方法は4つの選択肢から選べるため、事業主の事情に合わせた計画が立てやすい点も特徴です。また、オージェイは個人事業主や起業年数が浅い法人でも利用しやすい設計となっており、独自の審査によって迅速な資金調達を可能にします。
首都圏にお住まいの個人事業主の方はぜひオージェイの店舗へ行き、ビジネスローンの相談をしてみてはいかがでしょうか?
MRF「個人事業主・法人向けローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 3000万円 |
金利(実質年率) | 7%~15% |
融資スピード | 最短3日 |
融資対象者 | 個人事業主、法人 |
担保 | 必要(動産、不動産) |
保証人 | 不要 |
オンライン完結 | 不可能(面談は店舗まで来てもらう必要あり) |
決算書の提出 | 確定申告書の提出が必要 |
MRFは、西日本を拠点としたノンバンク系ビジネスローンです。大阪府、京都府、兵庫県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、そして九州各県(沖縄を除く)に居住または事業所がある事業者を対象に融資を行っています。このエリア外の方は申込み対象外となるため、事前に条件を確認することをおすすめします。
MRFは、西日本に根ざしたサービスを強みとしており、中小企業を中心に累計340億円以上の融資実績を誇ります。個人事業主ももちろん対象になります。MRFは地域密着の経営支援となるよう、各支店を通じて事業者の資金調達をサポートします。オンライン申込みを受け付けていないのも、きめ細かな対応をしたいとの意向があります。少なくとも面談時には店舗を訪問する必要があります。
さらに、経営者の負担を軽減するため、来店不要の出張訪問融資にも対応しています。スタッフが直接訪問し、対面での相談を行います。なお、MRFのローンは無担保ではなく、土地や建物に根抵当権を設定するほか、有価証券や売掛債権といった担保が求められます。また、不動産以外にも動産担保融資を行っていますが、無担保での利用はできない点にご注意ください。個人事業主の方も何か提供できる担保を用意してください。その代わり、通常のビジネスローンよりも高い融資限度額となっています(かなり例外的です)。
無担保や保証人不要のローンを希望される場合は、他の選択肢を検討する必要があります。
クレディセゾン「ビジネスサポートローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 950万円 |
金利(実質年率) | 2.8%~9.6%(カードの利用可能額が110万円以上など諸条件を満たす場合。そうでない場合は上限18%) |
融資スピード | 1週間~10日程度 |
融資対象者 | 個人事業主、法人 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要 |
オンライン完結 | できない(所得証明書の郵送が必要) |
決算書の提出 | 不要 |
セゾンビジネスサポートローンは、中小企業や個人事業主の資金ニーズに応えるビジネスローンです。現在お使いのセゾンビジネスカードに融資機能を追加するだけで、最大950万円までの事業資金の資金調達が可能になります。
また、キャッシングよりも低い金利(実質年率2.8%~9.6%)となるため、金利負担が減ります。クレジットカードのキャッシングにビジネスローンプランが付加されるイメージです。
このビジネスローンは、運転資金や事業拡大のための資金など、用途に縛られることなく利用できます。さらに、融資枠の上限は年収の1/3以内(総量規制適用)となります。ご利用可能枠が110万円以上の場合、優遇金利が適用されるため、さらに使いやすくなります。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードやセゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードをお持ちの方は、通常の金利よりもさらにお得な条件でご利用いただけます。ただし、審査結果により利用可能枠が110万円未満となる場合もあるため、詳細は書面にてご案内いたします。
まとまった資金を調達したい方、キャッシングよりも低金利での借り入れを希望する方、あるいは用途を限定せず自由に使える資金が必要な個人事業主の方に最適なビジネスローンサービスです。
セゾンファンデックス「個人事業主専用カードローン」
金融機関の種類 | ノンバンク |
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限度額 | 500万円 |
金利(実質年率) | 6.5%~17.8% |
融資スピード | 最短即日(1分かからないことも) |
融資対象者 | 個人事業主 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要 |
オンライン完結 | オンライン完結可能 |
決算書の提出 | 確定申告書の提出が必要 |
個人事業主向けカードローンです。急な出費や運転資金の不足など、さまざまな資金需要に対応可能です。セゾンファンデックス「個人事業主専用カードローン」は担保や保証人が不要で、必要なときに利用可能枠内で繰り返し借入れができます。事業資金としての利用であれば、総量規制適用対象外となり、年収(事業所得)の3分の1を超える借入れも可能です。
全国14万5千台のATMを使って手数料0円でご利用いただけるため、土日や深夜でもスムーズに資金を引き出せます。さらに、インターネットを利用すれば、最短数十秒で登録口座へ振り込みが可能で、振込手数料も無料です。
利息は利用した日数分だけ発生し、借入残高に基づいて計算されるため、無駄なコストを抑えられます。必要時に必要な額だけ500万円の範囲内で借りられるため、必要最小限の借入で済みます。
銀行融資までのつなぎ資金として利用したり、売上金が入るまでの運転資金として使ったりすることもできます。また、売上金が入ったらすぐに返済できる仕組みのため、利息負担を抑えられます。
PayPay銀行「ビジネスローン(個人事業主向け)」
金融機関の種類 | 銀行 |
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限度額 | 1000万円 |
金利(実質年率) | 1.8%~13.8% |
融資スピード | 最短即日(即時) |
融資対象者 | 個人事業主 |
担保 | 不要 |
保証人 | 不要 |
オンライン完結 | オンライン完結可能 |
決算書の提出 | 原則不要(審査過程で求められることもある) |
ビジネスローンのご利用には、PayPay銀行の法人・個人事業主のお客様向け普通預金口座「ビジネスアカウント」が必要となるのであらかじめ口座開設をお願いします。開業間もない事業主でも利用可能なのが大きなメリットです。
スマホを使って簡単に申込みができ、担保や保証人が不要で、手数料や維持費も一切かからないため、安心してご利用いただけます。
申込みから借り入れまでの流れはシンプルで、まずネットで簡単に申込みができ、原則として書類の提出は不要です。その後、審査結果は電話またはメールでお知らせします。
PayPay銀行のビジネス用口座をお持ちでない場合は、口座を開設する必要があります。
審査が終わりビジネスローンが認められると、口座に借入枠が設定されます。設定が完了すると、限度額内で繰り返し利用することが可能です。カードローンと同じようなイメージです。
利用にあたっては、日本国籍または日本での永住権を有していること、申込み時点で満20歳以上69歳以下であることが条件となります。
個人事業主向けビジネスローンの選び方や審査に通るコツ
個人事業主向けのビジネスローンをどのように選べば良いのか解説します。個人事業主向けのビジネスローンを選ぶことで、法人メインのビジネスローンよりも審査に通りやすくなり、迅速な資金調達につながります。
そのためのコツ、ポイントについてここでは説明します。ポイントを満たすビジネスローンがあればぜひ申込みの対象にしてみましょう。
個人事業主への融資実績が豊富な金融機関を選ぼう
ビジネスローン会社によっては、大口の法人客メインで個人事業主はおまけ、というところがあります。個人事業主は主要客ではないので、条件も良くなく、「よければ使ってください」というスタンスです。
審査も法人と同じ基準で行い、個人事業主にとっては厳しいものになるかもしれません。それでもビジネスローンとしては、主要客ではないので問題ないです。
やはり、個人事業主を主要客としており、個人事業主への融資実績が豊富な金融機関を選ぶのが良いでしょう。個人事業主の特徴や個人事業主が抱える事情もわかっていて、適切なビジネスローンメニューをそうした会社は提供しているはずです。
ビジネスローン会社選びを間違えると、悪い条件で契約させられてしまう可能性があることを知ってください。
審査が比較的甘いと言われるノンバンク系を選んでみる
審査が甘い、緩いというのは本来的にはあり得ないのですが、しっかり審査を行う中でも「易しそう」と思われるくらいの審査を行っている口コミのビジネスローンを選ぶのは考えとしてアリです。ただし、審査が甘いと感じる場合、金利が高くなるなど相応の条件があります。
審査が甘い、金利が低い、即日融資可能、必要書類も少ない、面談もしない、これらを同時に満たすビジネスローンはまずありませんのでどれを優先するか考えてください。
低い方がいいがあえてやや金利が高いサービスを選ぶ
金利は低い方が望ましいのは言うまでもありませんが、審査の厳しさと金利は反比例します。審査を緩くしたい場合は、ある程度高い金利のビジネスローンに申し込んでみるのも1つの方法です。
わざと金利が高いビジネスローンを選ぶ必要はありませんが、融資が通るか微妙な場合は金利高めのビジネスローンを選んで審査に通る可能性を上げてみても良いかもしれません。多少なりとも通過確率が上がる可能性があります。
決算書提出不要のビジネスローンを選ぶと審査が早い
決算書(確定申告書)の提出不要でも申し込めるビジネスローンがあります。決算書がないのに何をもとに審査をするのか疑問に思われるかもしれません。決算書=確定申告書は毎年2月~3月に個人事業主の方は税務署に提出するものですが、これがなくても、知直近の売上高や口座の入出金履歴を示すことで審査を受けられます。
これなら、開業1年以内の個人事業主もビジネスローンを受けられる可能性があります。
ただし、決算書=確定申告書を出さないと、ビジネスローン会社は詳細な審査ができません。決算書を見ないので、審査が早くなるかもしれませんが、返済不能リスクが上がってしまうことは確かなので
- 金利が高くなる(限りなく利息制限法上限付近)
- 融資可能金額が少なくなる
この2点については覚悟してください。
よほど見せられないような赤字決算の決算書でない限り、素直に提出して審査を受けた方が良いです。個人事業主として活躍するみなさまの「通知表」でもある決算書=確定申告書については必要書類になくても「見せてほしい」と言われる可能性もあり、準備だけはよろしくお願いいたします。
借入希望額はできるだけ少なめに設定すると通りやすい
ビジネスローンを申込む際には、借入希望額を可能な限り少額に設定することが審査通過のポイントとなります。ビジネスローン会社は、貸し付けた資金が確実に返済されるかを重視しています。借入希望額が大きいほど返済能力への不安が高まり、審査基準が厳しくなじ時間がかかる傾向があります。そのため、必要以上の金額を希望するのではなく、事業資金として本当に必要な最低限の額を見極めて少なめに申請することが大切です。
また、借入希望額が少なければ、金融機関側の回収不能リスクも低くなるため、審査が通りやすくなるだけでなく、返済計画を立てやすくなります。さらに、無理のない返済計画を示せれば、金融機関からの信頼度も向上します。繰り延べ返済(返済期間を延ばす)のは大幅なマイナス査定ですが、繰り上げ返済(返済期間を短縮する)のはプラス評価になります。
事前に資金の用途をしっかり精査し、最小限の借入希望によって、審査の通過率を高めることが可能です。適切な借入額を設定することは、迅速な資金調達と審査通過率を高めることにつながります。
融資金の利用目的や資金計画について明確にしよう
融資の審査では、どのような目的で資金調達したいのか明確になっていることが重要です。
- 〇〇という設備を購入したい。そうすれば売上が30%伸びる
- 光熱費など運転資金に余裕がないので融資を受けたい
この2つを比較した場合、審査に通りやすいのは前者になります。融資の利用目的がはっきりしていて、その融資によって売上が伸びそうだ、ということをビジネスローン会社に説明できれば、速やかに希望額の融資が叶うでしょう。
逆に後者の場合、経営状態が悪くて日銭(自己資金)がない、と判断されるかもしれません。そのような「自転車操業」の事業者にお金を貸すのはリスクがあります。事業者が個人事業主の場合、お財布がプライベート資金と一緒で、遊興費やギャンブルでお金がないから借りるのか?という判断を受けるかもしれず、明確な資金計画が必須です。
事業開始から1年未満の審査基準は厳しくなる傾向
後述しましたが、事業開始、開業から間もない場合、事業実績がないので本当に1か月の売上が安定して推移しているかわかりません。ひょっとすると最初の数か月はたまたま売上があって、その後(評判が悪く)売上が急降下するかもしれません。
事業開始から1年未満の審査基準は非常に厳しくなる傾向にあります。少なくとも確定申告書1期分を税務署に提出し、所得税や消費税を納税していることが重要です。それがない段階でのビジネスローンは、本当に事業者が行っているかビジネスローンは会社にいぶかしがられてしまうかもしれません。
確定申告書があっても白色申告ではなく青色申告、そして青色申告でも単式簿記10万円控除ではなく、複式簿記55万円or65万円控除が最低ラインです。本当に事業者としてビジネスローンを受けたい場合、青色申告+複式簿記を行うようにしてください。それがビジネスローンに信頼される最低ラインになります。
個人事業主がビジネスローンで即日借入するには?
個人事業主がビジネスローンで即日借入し、即日入金、資金化を実現させるにはどのようなことに注力すれば良いのでしょうか?ここでは即日借入を可能にするためのポイント、工夫について解説いたします。
必ず即日融資が可能なビジネスローンに申込む
HPなどで「即日入金可能」と謳っているビジネスローンに申込みしてください。いくら事業実績が良くても、「最短3日」などと謳っているビジネスローンでは、社内の規定上即日融資ができません。
即日融資、即日入金できます、と対外的にアピールしているビジネスローンに申込みするのが最低条件になります。ビジネスローンのHPや本記事のような比較サイトも参考にしてください。
「即日融資可能」「即日入金可能」と謳っていても実際には、数日かけているビジネスローンもあるかもしれません。
最短即日を謳っていても午前中の申込みがおすすめ
手続き開始は早い方が望ましいことも言うまでもありません。午前中、ビジネスローンが開業直後に申込みを行いましょう。あるいは、オンラインで手続きできる場合は、開業時間前に資料を送付し申込み手続きを終えることも可能です。
あとは開業時間後にビジネスローンの方で申込みされたものから審査に着手していきます。少しでも早くオンライン上で申込みをする、資料を提出する、このことが即日融資の可能性を上げます。
夕方閉店時間間際に申込みしても、即日融資は無理です。早め早めの行動が重要になります。
必要書類はできるだけ事前準備し円滑な手続きをする
即日融資には書類を可能な限り早くビジネスローン会社へ送ることが大切です。オンライン完結できるビジネスローンを狙うのがカギですが、書類は事前にスキャンして、PDF形式などのデータファイルとして保存しておきましょう。
これにより書類をデータとして提出できます。データ化する場合、スキャナーがあると楽です。スキャナーが手元にない場合でも、コンビニに設置されているコピー機(複合機)を使えば問題ありません。
また、スキャンが難しい場合には、スマートフォンで書類を撮影して画像ファイル(jpgなど)で提出することも可能です。その際、書類全体が鮮明に写るよう、注意深く撮影してください。
法人の場合は、追加で会社の商業登記簿謄本の提出が必要です。多くのビジネスローン会社では、取得日から3か月以内のものを有効としていますので、期限内のものを用意しましょう。
商業登記簿謄本は、オンラインで申請し、法務局から郵送で受け取ることもできます。直接窓口に行く必要がないため、手続きが非常に簡単です。支払いはネットバンキングで可能です。また、オンライン申請を利用すると、法務局窓口での手続きに比べて手数料が安くなるため、この方法を活用することをおすすめします。
オンライン申請を活用すれば、全国どこからでも商業登記簿謄本を取得できます。
個人事業主がビジネスローンを借りるときの注意点
個人事業主の方がビジネスローンを借りる際にはいくつか注意していただきたいことがあります。注意点についてまとめましたので、必ずチェックしておいてください。
総量規制の対象外なので自身に相応しいか慎重に検討
通常のノンバンク系個人ローンは年収の3分の1までしか借りられないという「総量規制」がかかります。しかし、ビジネスローンは「総量規制」の対象外です。「総量規制」が予定しているのは、カードローンなど個人が使いすぎて借金地獄になり返済できないことを防ぐためです。個人が遊興費などをローンで借りて使ってしまうため、返せず破滅を迎えてしまいます。
「総量規制」は個人のプライベート資金を守るためにあるので、経営者でもある個人事業主の事業資金を対象にしたビジネスローンは適用外です。それだけ年収や年間売上に関係なくビジネスローンを借りられるというわけですが、その分法的保護は薄くなってしまいます。
個人ローンは「総量規制」によって強制的に一定ラインで借りられないようになり返済不能リスクを減らせますが、ビジネスローンはそうはなりません。経営者として資金繰り、返済余力などをしっかり考えないと、返済不能になり不渡りを起こして取引から締め出されてしまう可能性もあります。
ビジネスローンは借入の幅が広がるものの、責任も大きくなるとご認識ください。
ビジネスローンは銀行融資と比べて金利は高い
ビジネスローンの金利は一般的に銀行融資と比べて高くなります。
- 迅速(最短即日)入金可能な審査
- 無担保、無保証人が原則
この2つから、どうしても時間をかけて審査できず、返済不能リスクが高くなるのは事実です。そのため、ビジネスローン側のリスクヘッジのため金利が高くなります。
ビジネスローンの金利は、「利息制限法」の上限近くになります。
利息制限法では、融資の金額によって上限金利を定めています。
ビジネスローンの融資金額 | 利息制限法における上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
「1桁万円」をビジネスローンで融資することはありませんから、ビジネスローンの金利は15%か18%ということになります。ビジネスローンの金利は、特に初回利用者については信用がないので、その対価として金利が高くなり、利息制限法の上限金利になります。
借入金利が15%や18%でもそれはビジネスローンの性質上仕方ないといことになります。もちろん、それを超える金利を課された場合は利息制限法違反であり違法です。弁護士等への相談が必要になるでしょう。
開業後すぐは収入証明がしづらく審査に通りづらい
開業間もない個人事業主でもビジネスローンを申込みできることがあります。しかし、あくまで「申込みできる」だけであり、審査はかなり厳しくなるでしょう。事業収入がどのくらいあるのか、開業すぐはわかりません。
開業1か月目で100万円売上があっても、2か月後には20万円に落ちてしまうかもしれません。開業2か月目にビジネスローンを申請しても、本当に100万円で売上が推移するのか、大きく落ちてしまい復活しないのかわかりません。
最低確定申告書2期分あれば、ここ2年の売上動向がわかり、ビジネスローンの審査をしやすくなります。せめて確定申告書1期分は欲しいところです。収入がどのくらいの規模で推移しているのか、確定申告書で証明できないとビジネスローン側も融資を躊躇ってしまいます。
開業後すぐでも申込みできるビジネスローンはありますが、審査は通りづらく、そうならば「創業融資」などでの資金調達も合わせて考えてみましょう。
個人の信用情報に傷があると審査に通りづらい
ビジネスローンも融資である以上「信用情報照会」が審査で必須となります。信用情報に傷がある、つまり、過去に返済事故や債務整理(自己破産など)を経験していると確実にバレてしまいます。
この信用情報に傷がある=「信用情報ブラック」の状態にあると、審査では大幅なマイナス点になります。都銀のように信用情報ブラック即NG、とまではいきませんが、ビジネスローンでも大幅減点の審査となります。当然、金利が高くなる、融資可能額が希望額より下がるなどデメリットがあります。
それでも一般の銀行融資と比べると幾分「マシ」なのも現状です。信用情報ブラックは信用情報照会で確実にバレるので、あらかじめ詳しい事情を話すことも大切です。その場合、即日資金化などのメニューではなく、しっかりビジネスローンの店舗へ行き、信用情報ブラックに至った経緯や理由を懇切丁寧に説明することが求められます。
信用情報照会があるのは、下記の中でも「デットファイナンス」になります。
資金調達の種類 | 内容 | 資金調達方法の選択肢 |
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アセットファイナンス | 自社の資産を現金化する | ①不動産売却 ②知的財産権(特許、商標、著作権等)売却 ③独占販売権、営業権などの無形資産の売却 ④ファクタリング ⑤でんさい(電子記録債権)譲渡 ⑥債権回収 ⑦セール&リースバック |
デットファイナンス | 「借入金融」お金を借りる、返済義務あり、信用情報照会あり | ⑧銀行融資(無担保、無保証人) ⑨自治体等の公的融資(無担保、無保証人) ⑩不動産担保融資 ⑪消費者金融、ビジネスローン ⑫手形割引 ⑬社債、私募債発行 ⑭ABL(動産・売掛金担保融資) |
エクイティファイナンス | 他社、第3者から出資を受ける、返済義務なし | ⑮新株発行公募 ⑯IPO(新規公開株)による資金調達 ⑰株主配当増資 ⑱第三者配当増資 ⑲クラウドファンディング ⑳ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家 |
ビジネスローンをはじめとした融資は信用情報ブラックの人には大幅減点となる、と覚えておいてください。
個人事業主向けビジネスローンに関するよくある質問
個人事業主向けビジネスローンに関してよく聞かれる質問についてQ&A形式で回答します。疑問点を解消して、いざというとき、すぐに個人事業主向けビジネスローンに申込みできるように準備をしておくと、いざというときに役立ちます。
個人事業主が必ず借りられるビジネスローンはある?
必ず借りられるビジネスローンはありません。どんなビジネスローンにも審査があります。審査に100%通るということはないので、必ず個人事業主が借りられると断定できるビジネスローンはありません。
なお、ビジネスローンは「融資」なので、信用情報機関への信用情報照会があります。過去に返済事故を起こしている、債務整理をしたことがあるなど「信用情報ブラック」の方はそこでバレてしまいます。信用情報ブラック=100%審査に落ちる、というわけではありませんが、大幅なマイナス評価になるのは避けられません。
今回紹介した個人事業主向けビジネスローンは、個人事業主にやさしいので、審査通過率はかなり高いのですが、それでも「必ず借りられる」ということにはなりません。
個人事業主向けビジネスローンは開業資金に使える?
開業資金に使えるビジネスローンはあるが多くない、というのが正解です。融資は事業実績がないと金融機関も判断できません。 多くのビジネスローンの条件は「決算書2年分の提出必須」「1年以上事業を継続している方」など、開業時には利用できないものが多いです。
いわゆる「創業融資」は
- 開業前
- 開業後1年~2年
向けの融資で、事業実績よりも創業計画書や事業計画書の内容が重視されます。
開業も間もない時期の資金を「開業資金」とすれば、そのためのビジネスローンは利用できますが、開業前、何も事業実体(事業している)がない中での資金を「開業資金」としてビジネスローンで調達するのは難しいとご認識ください。評価の対象である事業実績がない個人事業主に融資はできません。
素直に、金融機関や日本政策金融公庫の「創業融資」を利用するか、開業希望者向けの補助金や助成金の活用をご検討
ください。
ビジネスローンは個人向けローンと何が違いますか?
ビジネスローンと個人向けローンは、資金使途や審査基準、借入条件などにおいて大きく異なります。まず、ビジネスローンは事業資金を目的としており、設備投資や運転資金、仕入れ資金など、事業の成長や継続に必要な資金調達として用いられます。
一方、個人向けローンは生活費や遊興費、教育資金など、個人の私的な用途に利用されるものです。
審査基準も異なります。ビジネスローンでは借入を申し込んだ人の事業実績や財務状況、将来の収益見込みが重視されます。一方で、個人向けローンでは、主に申請者の給料や信用情報が評価対象となります。
大きく異なるのが、年収の3分の1までしか融資を受けられない「総量規制」適用の可否です。銀行以外が行う個人向けローンはこの「総量規制」が適用されます。しかし、ビジネスローンは銀行系、ノンバンク系関係なく「総量規制」の対象外となります。
「総量規制」はカードローン破産に代表されるように、個人が借りすぎて給料で返せなくなってしまうのを防ぐための規定です。しかし、ビジネスローンは事業の収益から返済を行うので、事業実績が上向いていれば相応の融資をしても返済不能になりません。
ビジネスローンと個人向けローンは資金使途、そして「総量規制」適用の有無で大きく異なります。
個人事業主向けビジネスローンは担保や保証人は必要?
「不要なものが多い」が答えになります。多くのビジネスローンでは迅速な資金調達を主目的としているため、担保や保証人の適用を求めません。担保や保証人の提供を求めないならば、ビジネスローン会社のリスクが高くなるので、金利が利息制限法上限付近になります。
利息制限法上限金利は15%~20%です。迅速性、無担保・無保証人と金利の高さはトレードオフになります。担保や保証人を求めるビジネスローンのメニューもありますが、その場合は、無担保・無保証人のビジネスローンと比べて金利が下がるはずです。