診療報酬ファクタリングは、資金繰りの悩み解決に役立つ有効な手段の一つです。ただ、デメリットもあるため、内容を理解せずに利用すると後悔する恐れがあります。本記事では、診療報酬ファクタリングのメリットやデメリット、ファクタリング会社を選ぶ際のポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
診療報酬ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングとは、医療ファクタリングのひとつで、診療報酬債権を譲渡することで早期資金調達が可能になるサービスのことです。
診療報酬債権とは、患者が保険診療を受診した際に支払った自己負担分以外を受け取る権利を指します。医療機関を受診した際、患者は自己負担割合分にあたる1〜3割を支払います。残りの医療費は、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などに請求してから、約2ヵ月で受け取れます。
すべての医療費を受け取るまでに診療から2ヵ月程度待っていると、資金繰りが苦しくなる医療機関もあるでしょう。資金が尽きると、銀行融資の返済に間に合わなかったり、故障した器具を修理できなかったりと、さまざまな経営リスクがともないます。資金繰りに困った医療機関の資金調達を助けるのが、診療報酬ファクタリングです。
診療報酬ファクタリングの仕組み
診療報酬ファクタリングでは、医療機関・ファクタリング会社・社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの支払機関の3社での契約となるケースが多いです。資金調達する際、以下の流れで進む傾向があります。
- 医療機関とファクタリング会社が診療報酬債権に関する債権譲渡契約を締結
- 医療機関とファクタリング会社が連名で支払機関に債権譲渡通知書を送付
- ファクタリング会社が医療機関に請求額の約8割を支払う
- 支払機関がファクタリング会社に診療報酬を支払う
- ファクタリング会社が受け取った診療報酬から②分の診療報酬と手数料を差し引いた金額を医療機関に支払う
支払機関による審査が終わって初めて正確な診療報酬の金額が確定するため、ファクタリング会社から医療機関への支払いは2回に分かれています。
診療報酬ファクタリングのメリット
診療報酬ファクタリングの主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。
診療報酬ファクタリングのメリット
それぞれについて詳しく解説します。
素早く資金調達できる
診療報酬ファクタリングの最大のメリットは、素早く資金調達できることです。ファクタリング会社と債権譲渡契約を締結後、1週間程度で入金されます。
診療報酬は受け取りまでに2ヵ月程度かかります。月末までに請求金額を計算し、支払機関に向けて翌月10日までに提出した診療報酬明細書をもとに報酬額が確定するからです。支払機関が実施する診療報酬明細書の審査が終わるまで、診療報酬は入金されません。
つまり、通常の受け取り方法と診療報酬ファクタリングには、受け取りまでに要する期間に2ヵ月程度の差があります。
参考:診療報酬等の支払予定日
手間がかかりにくい
手間がかかりにくいのも診療報酬ファクタリングのメリットの一つです。資金繰りに困った際、銀行融資を考える医療機関も多いでしょう。しかし、銀行からの融資を受けるためには、資金使途を確認できる書類や資金計画書など、さまざまな書類が必要になります。
日々診察に追われている医療機関にとって、書類作成にかかる手間と時間はなるべく省きたいもの。診療報酬ファクタリングでは、ファクタリング会社との債権譲渡契約のみで済むため、銀行融資と比較すると手続きに手間や時間がかかりません。
また、銀行融資では、担当者に書類を提出した後、支店長や本部機関によって承認されるのを待つ必要があります。さらに、金利が低い融資では資金使途が限定されているケースも多く、資金使途が自由な診療報酬ファクタリングと比較すると使い勝手が悪いのも特徴です。
手数料を抑えやすい
診療報酬ファクタリングは利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間ファクタリングであるため、手数料を抑えやすいというメリットがあります。2社間ファクタリングの相場は8%〜18%、3社間ファクタリングの相場は2%〜9%です。
また、診療報酬ファクタリングでは、売掛先が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの公的機関であるため、貸し倒れのリスクは限りなく0に近いでしょう。そのため、3社間ファクタリングでも、診療報酬ファクタリングの手数料率は低くなっています。
エヌエスパートナーズ株式会社は譲渡額の0.25~1.0%(1回・1か月あたり)、アクリーティブ株式会社は0.25%、カイポケ(株式会社エス・エム・エス)は譲渡額の80%に対して0.8%と、3社間ファクタリングの相場を1%以上も下回っています。
負債にならない
診療報酬ファクタリングで調達した資金は、診療によって入手した売掛債権を譲渡して資金化しているため、借金には該当しません。売掛債権を現金に置き換える手続きです。
貸借対照表の負債に計上されないため、貸借対照表が綺麗に見えます。貸借対照表の見栄えが悪いと返済能力が低いと見なされて、銀行が独自で設定している格付けが下がったり、銀行融資の金利が引き上げられたり、融資審査を通過できなかったりと、さまざまなデメリットがあります。銀行から融資を受ける際に有利に働くため、貸借対照表は見栄えの良い状態をキープしておきましょう。
また、負債の一つである借入に該当しないため、銀行融資の借入枠を残せます。銀行融資では、契約時に借入枠が設定されており、上限額以上の借入は認められません。診療報酬ファクタリングを活用すると、借入枠を消費せずに資金を調達できます。
診療報酬ファクタリングのデメリット
メリットの多い診療報酬ファクタリングですが、もちろんデメリットもあります。ここでは、診療報酬ファクタリングのデメリットについて詳しく解説します。
診療報酬ファクタリングのデメリット
診療報酬の受取額が減る
3社間での取引が多い診療報酬ファクタリングでは、1〜9%の手数料がかかります。2社間ファクタリングと比較すると、受取額の減少幅は小さいですが、受取額が減ることに変わりありません。
診療報酬ファクタリングの利用は突発的な資金需要が発生した場合に限定し、基本的には社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などからの支払いを待ちましょう。
長期的に悪影響となることがある
診療報酬ファクタリングに頼った資金サイクルを継続していると、経営難に陥りやすくなります。毎月手数料が診療報酬から引かれてしまうからです。
診療報酬ファクタリングに限らず、不必要な手数料を支払っていると資金繰りは苦しくなります。診療報酬ファクタリングを前提とした考え方は非常に危険です。資金繰りを改善するには何ヶ月利用すべきなのか考慮してから、債権譲渡契約を締結しましょう。
対応可能なファクタリング会社が少ない
診療報酬ファクタリングは、一般的なファクタリングと比較すると専門的な知識が必要になるため、対応可能なファクタリング会社が少ないというデメリットがあります。
診療報酬ファクタリングに対応可能なファクタリング会社として、エヌエスパートナーズ株式会社やアクリーティブ株式会社、カイポケなどが挙げられます。それぞれのファクタリング会社の特徴については後ほど解説します。
診療報酬ファクタリング利用時の注意点
診療報酬ファクタリングを利用する際、注意すべきポイントがあります。売掛債権の時効と悪徳業者です。それぞれについて紹介します。
診療報酬ファクタリング利用時の注意点
時効が迫っていないか確認する
診療報酬のような売掛債権には時効が存在しており、期限を過ぎると資金を回収できなくなってしまいます。診療報酬の時効は3年です。時効を迎えると診療報酬ファクタリングも利用できません。診療報酬の時効が迫っていないか必ず確認しましょう。
悪徳業者でないかに気を付ける
ファクタリングは、政府によって資金調達方法として認められており、サービス提供者には東証プライム上場企業も存在しています。しかし、悪徳業者も存在しています。相場を大幅に上回る手数料を計上し、診療報酬が大幅に減少した事案が確認されており、金融庁から注意喚起されるほどです。
悪徳業者のファクタリングを利用すると、資金繰りが悪化してしまう可能性が大幅に高まります。診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際は、内容の詳細や口コミを確認しましょう。
診療報酬ファクタリングはどんな時におすすめ?
長期間にわたっての診療報酬ファクタリングには注意が必要だと説明しました。ただ、いつ使うべきかわからない方も多いでしょう。ここでは、診療報酬ファクタリングを利用するおすすめのタイミングを紹介します。
診療報酬ファクタリングがおすすめなのは…
急に資金が必要になった場合
医療機関を運営していると、重要な器具が壊れて修理が必要になったり、新しい機械を購入したり、人手をたくさん補充しないといけなくなったりと、急に資金が必要になるケースがあります。突然必要になった資金を用意できない場合は、1週間程度で資金化できる診療報酬ファクタリングを利用すると良いでしょう。
突発的に必要になった資金の補填に使用した場合であれば、今後も継続して利用する可能性はそれほど高くありません。そのため、長期間にわたって手数料を支払い続ける心配もなく、安定した状態で医療機関を運営できるでしょう。
他の資金調達法よりメリットが大きい場合
他の資金調達方法よりも、診療報酬ファクタリングのメリットが大きい場合も、おすすめタイミングの一つです。「設備投資をしたいけど銀行融資が通らない」「今は借入枠を残しておきたい」「決算期が近いので貸借対照表の見栄えを良くしたい」など、診療報酬ファクタリングで解決できるケースは、積極的に活用しましょう。
また、手続きにかかる手間や時間を削減したかったり、すぐにキャッシュを入手したかったりする場合にも、診療報酬ファクタリングはおすすめです。
診療報酬ファクタリングの利用方法・流れ
診療報酬ファクタリングの利用方法は、以下の流れで行います。
診療報酬ファクタリングの利用方法・流れ
それぞれについて詳しく解説します。
診療報酬ファクタリング対応の会社へ申し込む
最初に診療報酬ファクタリングに対応している会社へ申し込みましょう。電話やWebで対応しています。ファクタリング会社によって対応している方法は異なるため、Webサイトから確認してください。
企業名 | 問い合わせ方法 |
エヌエスパートナーズ株式会社 | ・問い合わせフォーム(24時間365日対応可能)・電話(平日9:00〜18:00限定)03-5776-0711 |
アクリーティブ株式会社 | ・専用サイトのMedicare in(24時間365日対応可能)・電話(平日9:00〜18:00限定)03-6261-4925 |
カイポケ(株式会社エス・エム・エス) | ・電話(平日9:00〜18:00限定) 0120-115-611 |
必要な書類をWeb上にアップロードしたり、郵送で提出したりすると、申し込みが完了して審査がスタートします。
契約する
履歴事項全部証明書(3ヶ月以内)・法人概要・沿革・確定申告書写3期分・決定通知書(国保・社保・介護)・請求書・法人の登記簿謄本・印鑑証明・預金通帳のコピーなど、ファクタリング会社によって必要な書類を提出し、審査が完了すると審査結果が届きます。審査結果の通知時期や必要書類はファクタリング会社によって異なるため、問い合わせたタイミングで確認しておきましょう。
また、契約時には、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会に送付する債権譲渡通知書をファクタリング会社から求められることがあります。社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会への送付は、基本的にファクタリング会社が担当します。
ファクタリング会社からの入金を確認する
手続きが完了したら、ファクタリング会社からの入金を待ちましょう。一般的に診療報酬ファクタリングの入金は、2回に分けて実行されます。1回目に診療報酬の8〜9割の金額が入金され、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会による審査が終了してファクタリング会社に入金された後、2回目に残りの金額が入金されます。
手数料の引かれるタイミングや計算方法は、ファクタリング会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。1回目の入金時に引かれるケースや2回目の入金時に引かれるケースがあります。
診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際のポイント
診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
診療報酬ファクタリング会社の選び方
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
対象条件
買取可能額・保証人の有無・対面申込の対応状況・提携金融機関数など、医療機関によって重視する項目は異なります。診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際は、対象条件を満たしているかどうか確認することが大切です。
条件を満たさない報酬ファクタリング会社を選んでしまうと、必要な金額を調達できなかったり、意図せず保証人になってしまったりする恐れがあります。対象条件を満たしたファクタリング会社を選びましょう。
手数料
診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際、手数料の比較は非常に重要です。手数料が大きいファクタリング会社を選んでしまうと、資金化できる診療報酬の額が減少してしまうからです。入金までの早さや契約形態などの条件を満たしている場合は、手数料が低い方のファクタリング会社を選びましょう。
診療報酬ファクタリング会社を選ぶ際の手数料の目安は1%以下です。ただ、手数料とは別に契約時の内容証明・書留郵便代、振り込み手数料、弁護士費用、初回手数料、月額利用料などが必要なケースもあるため、手数料率だけを見て決定しないように注意しましょう。
入金までの早さ
入金までの早さも非常に重要な要素です。手数料を支払って診療報酬を現金化しても、必要な日に間に合わなければ意味がないからです。入金までに必要な日数を必ず確認しましょう。
また、手続きがスムーズに進むかどうかも大切です。手続き完了後の入金スピードが早くても、準備に時間がかかる必要書類が多かったり、問い合わせ後の対応が遅かったりすると、すぐに現金化できません。
契約形態
ファクタリング会社によって、3社間ファクタリング、2社間ファクタリングなど、対応している契約形態が異なります。診療報酬ファクタリングは3社間が一般的ですが、2社間のみにしか対応していないケースも考えられます。
2社間で契約すると、3社間よりも手数料が高くなる可能性が非常に高いので、対応可能な契約形態は事前に確認しておきましょう。
実績
運営実績や累積資金調達額、口コミなども非常に重要なポイントです。運営実績が豊富な診療報酬ファクタリング会社は、多くの医療機関に信頼されている可能性が高いからです。
また、累積資金調達額が大きければ、サービスを利用する医療機関が多かったり、継続して依頼するほど質の高いサービスを提供している可能性が高かったりと、ファクタリング会社の状況を確認できます。
口コミからは良い評価と悪い評価の両方をチェックできるため、それぞれの内容を把握して総合的に判断しましょう。
おすすめの診療報酬ファクタリング会社
ここからは、おすすめの診療報酬ファクタリング会社について詳しく解説しましょう。
企業名 | 取引可能額 | 手数料 | 資金調達にかかる日数 |
エヌエスパートナーズ株式会社 | 診療報酬の約5ヵ月分 | 譲渡額の0.25~1.0%(1回・1か月あたり) | 問い合わせから2~3週間程度 |
アクリーティブ株式会社 | 診療報酬の3ヶ月分相当 | 月0.25%~ | 必要書類提出後から最短2週間 |
カイポケ(株式会社エス・エム・エス) | ー | 0.8% | 5営業日 |
エヌエスパートナーズ株式会社
取引の種類 | 診療報酬・介護報酬・調剤報酬 |
取引可能額 | 診療報酬の約5ヵ月分 |
手数料 | 譲渡額の0.25~1.0%(1回・1か月あたり) |
資金調達にかかる日数 | 問い合わせから2~3週間程度 |
保証人 | 原則として代表者 |
おすすめの診療報酬ファクタリング会社1社目は、エヌエスパートナーズ株式会社です。「診療報酬に対する掛目(原則は90%未満)」×「1ヶ月〜5ヶ月分」に相当する金額が取引可能額として設定されています。
譲渡額の0.25〜1.0%が手数料として引かれます。手数料率は医療機関ごとに異なるため、契約前に確認しましょう。また、資金調達にかかる日数は問い合わせから2~3週間程度と、他のおすすめ会社よりは時間がかかります。
一方、上限額は大きいため、一度に多くの資金を調達したい医療機関には、エヌエスパートナーズ株式会社が適していると言えるでしょう。
アクリーティブ株式会社
取引の種類 | 診療報酬・介護報酬・調剤報酬 |
取引可能額 | 診療報酬の3ヶ月分相当 |
手数料 | 月0.25%~ |
資金調達にかかる日数 | 必要書類提出後から最短2週間 |
保証人 | 不要 |
2社目はアクリーティブ株式会社です。東証プライムに上場している芙蓉総合リースグループによるファクタリングサービスです。月0.25%と業界最安クラスの手数料を誇ります。
審査→契約→入金まで最短2週間で完結し、急な資金ニーズに対応しています。診療報酬の3ヵ月分相当にあたる資金調達が可能です。また、赤字決算・債務超過でも資金を調達できるケースがあります。銀行融資を断られたり、資金繰りに困ったりした場合は、アクリーティブ株式会社に相談してみましょう。医療機関の状況にあわせ、早期支払いの最適な提案をしてもらえます。開業して間もない医療機関や個人事業主も、サービスは利用可能です。
カイポケ(株式会社エス・エム・エス)
取引の種類 | 診療報酬・介護報酬・調剤報酬 |
手数料 | 0.8% |
資金調達にかかる日数 | 5営業日 |
保証人 | 不要 |
3社目はカイポケ(株式会社エス・エム・エス)です。資金調達にかかる日数が、他の2社と比較すると非常に早いのが特徴です。そのため、すぐにでも資金化したい医療機関に適しています。
また、手数料も業界最安クラスと言えるでしょう。手数料は早期入金額(請求額の80%)に対してかかるものであり、残金(請求額の 20%)にはかからないからです。アクリーティブ株式会社の0.25%よりは高いですが、残金に対して手数料が発生しないため、手数料を低く抑えられます。
診療報酬ファクタリングに関するよくある質問
ここまでの内容で診療報酬ファクタリングに関する理解は深まったでしょう。最後に診療報酬ファクタリングに関するよくある質問に回答します。
診療報酬ファクタリングに関するよくある質問
診療報酬ファクタリングの市場規模は?
診療報酬ファクタリングの市場規模は、拡大しています。
年度 | 債権譲渡 | ||
医療機関等数 | 通知書数 | 金額(千円) | |
平成30年度 | 6,282 | 3,739 | 49,472,773 |
令和元年度 | 6,621 | 3,915 | 48,872,731 |
令和2年度 | 7,042 | 4,004 | 50,079,718 |
令和3年度 | 7,571 | 4,103 | 55,331,570 |
令和4年度 | 8,021 | 4,307 | 56,650,754 |
出典:令和2年度診療報酬等債権譲渡・差押等処理状況|社会保険診療報酬支払基金
令和4年度診療報酬等債権譲渡・差押等処理状況|社会保険診療報酬支払基金
社会保険診療報酬支払基金の情報を見ると、売掛債権を譲渡した医療機関等数が毎年増加していることがわかるでしょう。平成30年度から令和4年度にかけて、売掛債権を譲渡した医療機関等数は1,739件も増えています。
診療報酬ファクタリングと銀行融資との違いは?
診療報酬ファクタリング | 銀行融資 | |
手数料・金利 | 1%前後 | 1~5%程度 |
審査対象 | 売掛債権 | 返済能力 |
資金調達までの期間 | 5日~3週間 | 1週間~3ヵ月程度 |
会計上の分類 | 売掛金の減少現金の増加 | 負債 |
資金使途 | 自由 | 融資の種類によっては限定 |
診療報酬ファクタリングと銀行融資の大きな違いは、会計上の分類です。売掛債権の譲渡になる診療報酬ファクタリングに対し、銀行融資は負債に計上されます。どちらの方法を選ぶかによって、貸借対照表の見た目が変わります。
また、資金使途の自由な診療報酬ファクタリングに対し、銀行融資では資金使途が制限されるケースがあり、使い道に違いがあると言えるでしょう。
資金繰り改善には「支払い.com」もおすすめ!
診療報酬ファクタリングとは、診療報酬債権を譲渡することで早期資金調達が可能になるサービスのことです。診療報酬を早めに受け取れたり、銀行融資と比べると手続きが簡単だったり、負債に計上されなかったりと、さまざまなメリットがあります。
一方で、手数料によって診療報酬の受取額が減少したり、対応可能なファクタリング会社が少なかったりするなど、デメリットもあります。長期的に診療報酬を利用していると経営が苦しくなる恐れもあるので、経営状況と相談しながら計画的に申し込みましょう。
資金繰りに困った際は、すべての振込支払いをクレジットカードで決済できるサービス「支払い.com」もおすすめです。