ファクタリングにおける割引率とは、ファクタリング会社が売掛債権の買取額を決めるための指標です。審査によって売掛債権の未回収リスクが高いと判断された場合は、割引率は高くなり、ファクタリングの利用者が受け取る額面金額は少なくなります。
割引率はファクタリング会社によって違いがあるため、仕組みを理解しないまま利用するとコストの負担が重くなってしまい、かえって資金繰りに苦しむ結果になる場合もあるでしょう。
そこでこの記事ではファクタリングにおける割引率の定義や計算方法、割引率を決める要因などを詳しく解説します。割引率を抑えるコツも紹介しますので、参考にしてください。
また、資金調達のコストを抑えたい場合は「支払い.com」も検討してみましょう。支払い.comは一律4%の手数料で、請求書の支払いを最大60日間先延ばしにできるサービスです。
クレジットカードがあれば審査不要で利用できます。資金繰りの悩みを解決したい場合は、まず無料登録から始めてみましょう。
ファクタリングの割引率とは?
ファクタリングの割引率とは、売掛金から差し引かれる手数料の割合です。「手数料率」と言い換えることもできます。
ファクタリングは未回収の売掛債権をファクタリング会社が買い取り、現金化する取引です。ただし、利用者は売掛債権の全額を受け取れるわけではなく、一定の手数料を差し引いた金額を受け取ります。
この手数料はファクタリング会社の主な収益となるため、さまざまなリスクを踏まえて設定されています。割引率が低いほど、ファクタリング による資金調達のコストは低くなるということを理解しておきましょう。
ファクタリングにおける割引率の計算方法
売掛債権の買取価格は「売掛金の額面金額×掛目×(1-割引率)」で計算できます。掛目とは、ファクタリング会社が売掛債権の何%を買取対象としているかを表す数値です。
たとえば、100万円の売掛債権(掛目)に対して、割引率10%の条件でファクタリング契約を結ぶ場合、100万円×80%×(1−10%)=72万円を利用者は現金で受け取れます。
ファクタリングの割引率を左右する4つの要因
ファクタリングの割引率は、以下4つの要素によって決定することがほとんどです。
ファクタリングの割引率を左右する4つの要因
未回収リスク
ファクタリングにおいて、割引率に大きな影響を与えると考えられているのが「未回収リスク」です。未回収リスクとは、ファクタリング会社が本来受け取るべき売掛金を受け取れなくなるリスクを指します。
何らかの理由で、売掛債権の買取金額を回収できない可能性が高いと判断された場合は、割引率が高くなることはもちろん、審査を通過できない可能性もあるのです。
具体的にどのようなケースで未回収リスクが高い・低いと判断されるのかについては「未回収リスクを決定する4つの要素とは」でさらに詳しく解説します。
登記費用や印紙代などの手数料
ファクタリングの手続きには一般的に以下のような費用がかかります。
- 債権譲渡登記費用
- 審査・事務手数料
- 印紙代
- 司法書士への報酬
- 出張費用
これらの費用が大きくなるほど、手続きにコストがかかるため、割引率は高くなるということです。
なお、ファクタリング会社によっては、これらの費用を「諸費用」としてファクタリングの手数料とは別途請求するケースもあります。諸費用や手数料の合計があまりにも高額になる場合は、違法業者である可能性も高いため、注意が必要です。
ファクタリング会社のノウハウや方針
ファクタリング会社の割引率に差があるのは、ノウハウや審査能力の違いが影響しています。以下の特徴がある場合、割引率は低く設定される傾向にあります。
- AIを活用して審査コストを削減している
- 専門家との協業により、未回収リスクを低減している
- ファクタリングの取り扱い件数が多い
特に、業歴が長く認知度の高い、いわゆる「優良ファクタリング会社」は、実績やノウハウが豊富で、審査能力も高く、手数料が適正水準に設定されていることが多くなっています。
また、ファクタリング会社の方針として、大口利用を促進する意味で、売掛債権の金額が大きい場合には低い割引率を適用する場合もあります。
割引方式(一括割引方式と個別割引方式)
売掛債権の買取方法には、一括割引方式と個別割引方式の2種類があります。
一括割引方式とは、債権の譲渡日や指定日にまとめて売掛債権を現金化する方式です。たとえば、1,000万円の売掛債権を割引率20%で売却する場合、800万円が一括で支払われます。
一方、個別割引方式は契約した売掛金の範囲内で、利用者が譲渡日や譲渡金額を自由に設定できる方式です。たとえば、1,000万円の売掛債権に対してファクタリングの契約をし、500万円だけ現金化して受け取る、といった取引ができます。
個別割引方式は資金調達の自由度が高いのが特徴ですが、一括割引方式と比べると支払いの手間やコストなどの面で、ファクタリング会社の負担が大きくなりやすいため、割引率は高くなる傾向があります。
未回収リスクを決定する4つの要素とは
ファクタリング会社は、以下の項目を調査することによって未回収となるリスクを予測し、割引率を決める際の根拠としています。それぞれの項目が未回収リスクとどのような関係性があるのか、確認していきましょう。
未回収リスクを決定する4つの要素とは
売掛先の信用力
ファクタリング会社は、信用情報会社の情報や自社のデータベースを参照しながら、売掛先の信用力を調査するケースが一般的です。売掛先の信用力が高いほど、未回収リスクは低いと判断されます。
信用力が高いと判断されやすい売掛先の主な特徴は、以下のとおりです。
- 財務状況が良好である
- 業績が安定している
- 企業規模が大きい
- 創業からの年数が長い
- 事業の成長力が高い
これらの特徴が多く当てはまる場合は、割引率が低くなる傾向があります。
申込者の信用力
申込事業者の信用力も、未回収リスクを決定する要素の一つになっています。売掛先の支払い能力が十分な場合でも、申込事業者の経営状況が不安定な場合、売掛金の使い込みリスクがあるからです。
ファクタリング会社は決算書や預金通帳のコピーなどの必要書類、面談などで、申込事業者の信用力を査定します。自社・他社を問わず、ファクタリングの利用実績がある場合は、未回収リスクは低いと判断され、割引率も低くなりやすいでしょう。
売掛金の支払い期日
売掛金の支払い期日も未回収リスクと密接な関係があります。支払い期日が遠くなるほど、資金繰りが悪化し、売掛先が経営破綻するリスクも高くなると考えられるためです。
ただし、支払いサイトは30日が一般的で、下請法が適用される場合は最長でも60日です。1カ月〜2カ月程度で急に経営が傾くことは考えにくいため、割引率を決定する上では、売掛先の財務状況や業績の方が重視される傾向にあります。
契約方式(2社間・3社間)
契約方式によっても未回収リスクは大きく異なります。
3社間ファクタリングの場合、売掛金が直接ファクタリング会社に支払われるため、基本的に未回収となるのは売掛先に何かあった場合のみです。
さらに売掛先とファクタリング会社が直接やりとりをすることで、売掛債権の実在性や売掛先の信用力などを確認できるため、未回収リスクは低く見積もられる傾向があります。
一方、2社間ファクタリングの場合は「売掛先からの未回収リスク」に加え「ファクタリング利用者からの未回収リスク」も加わります。
つまり、3社間ファクタリングよりも未回収リスクが高いと判断されやすいということです。そのため2社間ファクタリングの方が、3社間ファクタリングよりも割引率は高くなる傾向にあります。
ファクタリングと手形割引における割引料の違い
手形割引とは、約束手形を支払い期日がくる前に金融機関で換金することです。ファクタリングと手形割引は取引の流れが似ているため、ファクタリング手数料のことを「割引料」と呼ぶ業者も多くなってきています。
しかし、実際には2つの取引における「割引料(手数料)」には以下のような違いがあることを理解しておきましょう。
ファクタリングと手形割引における割引料の違い
利息制限法の対象になるか
手形割引は融資の一種として扱われるため、利息制限法が適用されます。利息制限法で定められている上限金利は、以下のとおりです。
融資額 | 金利 |
10万円未満 | 年20.0% |
10万円〜100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
一方、ファクタリングは融資ではなく、法的には「債権譲渡契約」に該当するため、利息制限法の適用は受けません。そのため、1回あたりの手数料が20%を超える契約も基本的には有効です。
法律上の制限がないことを逆手にとって、著しく高い手数料を請求してくる悪質な業者も存在するため、注意しましょう。
※ 出典:金融庁「その資金調達 大丈夫ですか?」
手数料に回収リスクが含まれているか
手形割引には償還請求権があるため、売掛金が売掛先から回収できなかった場合は、手形を現金化して受け取った金額を金融機関に支払う必要があります。
一方、ファクタリングは基本的に償還請求権がないため、万が一、未回収になった場合はファクタリング会社が損害を被る仕組みです。したがって、ファクタリングの場合は貸し倒れになるリスクを見込んで、手形割引よりも高い手数料が設定される傾向にあります。
勘定科目の種類
手形割引の割引料とファクタリングの割引料はどちらも経費として計上可能です。しかし、帳簿上は、手形割引料は「手形売却損」、ファクタリング割引料は「売上債権売却損」の勘定科目に計上することが多くなっています。
ファクタリング割引率の相場
ファクタリング事業推進協会によると、ファクタリングの割引率は2%〜15%程度が一般的です。契約方式によっても違いがあり、2社間だと10%〜30%、3社間だと1%〜20%程度が相場となっています。
ただし、業者によっても割引率にはばらつきがあるようです。株式会社セイビーの「ファクタリング(売掛債権譲渡)利用者への総合調査/2020年版リサーチ調査」によれば、全体の5%程度は30%以上の割引率でファクタリングを利用した経験があります。
割引率が相場よりも著しく高い場合は、違法な業者である可能性を疑うべきです。逆に割引率が低すぎる場合は、手数料とは別に諸費用の支払いが必要になることはないか、確認しておくことをおすすめします。
また、「1%〜30%」のように割引率の幅が広い場合、下限の手数料は集客目的で示されているに過ぎず、実際は上限の割引率が適用されるケースも少なくありません。
ファクタリングの割引率を抑えるコツ
ファクタリングの割引率を抑えるためには、以下の方法を実践してみましょう。上記の方法であれば、ファクタリングの対象とする売掛債権が同一であったとしても、割引率を抑えられる可能性があります。
ファクタリングの割引率を抑えるコツ
複数のファクタリング会社を比較する
割引率を抑えるためには、複数のファクタリング会社で見積もりを依頼し、比較・検討することが大切です。他社の条件を出しながらファクタリング会社と交渉することで、割引率の引き下げに応じてもらえる場合もあります。
ファクタリングの利用実績を積み重ねる
割引率を抑えるためファクタリングを何回か利用し、利用実績を積み重ねることも大切です。返済期日を守っていれば、未回収になるリスクが低いと判断され、割引率が低くなる可能性もあります。
ファクタリング会社の乗り換えを検討する
ファクタリング会社によって割引率は異なるため、乗り換えをすることで割引率を低く抑えられる場合があります。初めて利用するファクタリング会社であれば、キャンペーンが適用され、低い割引率で利用できることもあるでしょう。
また、他社でファクタリングの利用実績がある場合は、未回収リスクの低い優良顧客とみなされ、手数料が安くなる可能性があります。
手数料率が一律4%の「支払い.com」で資金調達のコストを抑えよう
高額の資金調達が必要な場合や継続的に資金繰りが必要な場合は、ファクタリングの手数料が負担になることもあります。なるべくコストを抑えて資金繰りを改善したい時は「支払い.com」の利用を検討してみましょう。
支払い.comは取引先から発行された請求書をクレジットカードで決済することで、支払いを最大60日間先延ばしにできるサービスです。支払い.comの手数料は、一律4%。審査も不要なので、自社や他社の信用力によって手数料率が左右されることはありません。
手数料の安さやクレジットカードを利用するだけで資金繰りを改善できる手軽さから、業種を問わず多くの事業者に利用されています。
まとめ
ファクタリングの割引率とは、売掛金から差し引かれる手数料の比率で、未回収リスクや各種手数料に基づいて設定されます。とくに売掛先の信用力は未回収リスクに大きく影響するため、ファクタリングの審査で重視されるポイントの一つです。
ファクタリング会社によって割引率は異なりますが、極端に高い場合は悪質な業者の可能性もあるため注意が必要です。
資金調達のコストを抑えたい事業者様は「支払い.com」を利用することをおすすめします。支払い.comは手数料4%(一律)で最大60日、請求書の支払いを先延ばしにすることが可能です。