取引先からの入金が遅延したとき、個人事業主や中小企業は特に打撃が大きいでしょう。また逆に、取引先への支払いが遅延した、もしくはしそうなときも資金繰りに大きな問題を抱えていると考えられます。
そこで本記事では、「入金遅延(された・してしまった)時の対処手順」に留まらず、「キャッシュフローの改善方法」まで解説します。直面の問題解決にも、長期的な課題解決にもぜひお役立てください。
取引先からの入金が遅延したときの対処法・流れ
期日を過ぎたにも関わらず、取引先からの入金がないときには、以下の手順で対処しましょう。まずは自社や金融機関側に問題ないかを確認したうえで、取引先への連絡は迅速かつ厳正にすることが大切です。
取引先からの入金が遅延したときの対処法・流れ
1.取引先以外の問題でないかを確認
入金遅延が発覚したら、まずは以下を確認し、原因がどこにあるかを明確にしましょう。
- 事務処理上のミスはなかったか(書類不備、請求手続きの漏れなど)
- 金融機関から何らかの知らせはないか(メンテナンス、取り扱いの一時休止など)
取引先以外であり得る入金遅延の原因は、主に自社か金融機関にあります。いずれにも問題がなかった場合には、次の手順に進みましょう。
2.取引先にメールや電話で確認
取引先にメールもしくは電話で確認を入れましょう。1通目では入金遅延の事実を確認するのに留め、2通目以降で理由をヒアリングします。
理由は一般的に、以下2つに分かれるでしょう。
- 取引先の手続きミス、または認識の相違
- 取引先の資金不足
しかしいずれにせよ現時点で重要なのは、確実に入金を果たしてもらうことです。文句を連ねたり、契約継続の是非を検討したりする前に、次の手順で新たな入金日時を確定させましょう。
3.新たな支払期日の設定
新たな支払期日は、取引先と相談のうえ、設定します。遅延がただのミスであった場合には、直ちに手続きを取ってくれる場合も多いでしょう。
一方、入金までに期間が空くようであれば、安易に取引先の要求をそのまま飲むことは避けるのが無難です。最低限、取引先の倒産により回収不能になることは避けなくてはいけません。
新たな支払期日や条件を含めた書類を改めて作成して取り交わすほか、特に倒産リスクが高い場合には、個人保証や不動産担保を取るのが良いでしょう。
取引先への支払いが遅延しそうなときの対処法・流れ
取引先への支払い遅延は、非常に不誠実であり、今後にも響きかねません。支払期日を迎える前に、なるべく早い段階で以下の手順で対処しましょう。
- すぐにできる資金繰り方法を検討
- (1)が難しければすぐに取引先に連絡
資金繰りして支払期日に間に合わせることを優先し、取引先への相談は最終手段とするのが無難です。
1.すぐにできる資金繰り方法を検討
緊急時の資金繰り方法としては、即日に対応している「請求書支払い代行サービス」「ビジネスローン」「ファクタリング」のいずれかから検討するのが良いでしょう。
サービス名 | 請求書支払い代行サービス | ビジネスローン | ファクタリング |
---|---|---|---|
審査有無 | サービスによる | あり | あり |
審査時間 | 0分~2時間 | 30分~ | 30分~ |
主な必要書類 | サービスによる | 収入証明書類、商業登記簿謄本、本人確認書類 | 売掛債券の証明書類、通帳のコピー、本人確認書類など |
手数料 | 平均3%~5% | 平均3%~18%(年利) | 平均5%~15% |
なかでも急ぎのときに適しているのは、審査なしのサービスもある「請求書支払い代行サービス」です。
- 請求書支払い代行サービス
請求書支払い代行サービスを利用すれば、取引先への入金を一時的に肩代わりしてくれます。取引先に迷惑をかけることなく支払期日を先延ばしにできるうえ、手数料も比較的安いので、資金繰りに悩むときにも気軽に利用しやすいでしょう。
- ビジネスローン
ビジネスローンは、事業資金専用の融資サービスです。即日対応のものもありますが、融資額は事業実績や経営状況に基づくため、資金難の状況ではあまり多くの融資を望めないでしょう。
- ファクタリング
ファクタリングは、売掛債権を売却できるサービスです。「売掛金の回収に確実性があるか」が審査で重要視されるため、売掛先の信用が高ければ、自社の状況に関係なく利用できます。
反面、個人事業主や中小企業の売掛債権をはじめ、信頼性が低い場合は審査落ち、もしくは高額な手数料での取引になる恐れがあります。
2.(1)が難しければすぐに取引先に連絡
支払期日までに資金繰りが間に合いそうにないようであれば、すぐに取引先へと連絡を入れましょう。連絡は早ければ早いに越したことはありません。
連絡方法は誠意を見せやすい電話や対面がベターですが、先方の都合を考え、事前にメールで端的に事情を伝えたうえでアポを取るのが良いでしょう。
メールには、以下4点を盛り込みましょう。
- 謝罪
- 入金遅延の理由
- 入金希望日
- 改めて電話(もしくは対面)で謝罪したいこと、日程相談について
自社の不手際をていねいに詫びつつも、要求の提示は明確にすることが大切です。
入金遅延の対処後に|健全な経営のためのチェックリスト
今回の入金遅延(した・された)は無事に対処できたとしても、次回もそうであるとは限りません。遅延理由が事務処理上のミスであれば、繰り返さないように管理方法を見直す必要があるでしょう。
そうではなく、以下いずれかに当てはまる場合には、倒産リスクが高い状況にあります。心当たりがある場合には、早期のキャッシュフロー改善をおすすめします。
入金遅延の対処後に|健全な経営のためのチェックリスト
成長期の企業は特に要注意
成長期の企業は、たとえ黒字であっても倒産リスクが急激に高まることがあるので注意が必要です。
なかでも売上が手元に入るまでの期間が長い場合は、改めて入出金状況を確認してみてください。帳簿上は利益が上がっていても、手元資金に余裕がない状態が恒常化していませんか。
そのような状態が長く続くと事業を回すだけでも厳しく、拡大や発展に経費を回すことはさらに困難になるでしょう。結果、経営は先細りしていき、最悪の場合は黒字倒産を迎えてしまいます。
黒字倒産は企業規模に関わらず起こり得ますが、成長期の企業は急激に売上が伸びやすいため、手元資金と帳簿上の利益に大きな差が生まれやすいのです。
そのうえ規模が小さい企業ほど資金調達力が弱いため、入金遅延をはじめ何らかのトラブルが起きたときに大打撃を受けやすいでしょう。早めの対策が必要です。
中小企業でもできるキャッシュフローの改善方法
キャッシュフローの改善方法は、以下のとおりさまざまです。
- 在庫数や取引数の過剰増加を避ける(適切に保つ)
- 資金調達の方法をさまざま確保する
- 費用の支払サイトを長くする
しかし発展中の中小企業では、在庫数や取引数がある程度、急激に増加することは避けられません。さらに資金調達も、大企業に比べると方法も金額も限られます。
そこでおすすめなのが、費用の支払サイトを調整することです。支払サイトが長くなれば、結果的に収益と費用の発生タイミングが近くなるため、キャッシュフローが安定化します。
契約時点でのサイト調整が難しいようであれば、「請求書支払い代行サービス」を利用すると良いでしょう。ファクタリングやビジネスローンよりも安い手数料で、キャッシュフロー改善に活用できます。
キャッシュフローが不安定なら「支払い.com」がおすすめ
キャッシュフロー改善に請求書支払い代行サービスを利用するなら、「支払い.com」がおすすめです。支払い.comでは、請求日を最大で60日間延長できます。請求日を調整し、収益と費用発生のタイムラグを減らすことで、経営の安定化を図れるでしょう。
キャッシュフローが不安定なら「支払い.com」がおすすめ
支払いを最大60日延長できる
支払い.comの代行申請は、以下の流れで進みます。
- 代行の手続き
- 登録したクレカによる決済発生(請求額+手数料、カード利用料金に合算)
- 請求日に支払い.comが振込を代行(名義は自由に設定可)
そのため、クレカの締め日および支払い日によって、最大では60日間の先延ばしができます。
例1:取引先の請求日が3月31日・クレカが毎月15日締め、翌月末払い 1)3月25日に代行手続きを完了 2)5月31日にカード利用料金としてカード会社に支払い |
例2:取引先の請求日が3月31日・クレカが毎月末締め、翌月末払い 1)3月25日に代行手続きを完了 2)4月30日にカード利用料金としてカード会社に支払い |
利用可能なクレカは、セゾンカードならすべての国際ブランド、そのほかではVisaとMastercardです。自社のキャッシュフローに応じたカードをご用意ください。
利用金額:240万円 先延ばし日数:60日 導入理由:社員への給与が当月払いなので、資金繰りには慢性的に難を感じていた 利用者の声:既存クレカですぐに資金繰りが改善できるのが魅力的 | 導入事例:建設業・ITその他 A社様
手数料4%だから中小企業でも使いやすい
支払い.comの手数料は、4%です。なお、即日可能な消費者金融のビジネスローンは最大18.0%が一般的です。手数料の比較表を参考までにご覧ください。
請求代行額 | 支払い.com(4.0%) | ビジネスローン(18.0%) |
---|---|---|
30万円 | 1万2,000円 | 5万4,000円 |
200万円 | 8万円 | 36万円 |
500万円 | 20万円 | 90万円 |
800万円 | 32万円 | 144万円 |
1,000万円 | 40万円 | 180万円 |
キャッシュフローが安定化しづらい中小企業でも、支払い.comなら気軽に利用しやすいでしょう。
審査なし・担保不要
支払い.comは、審査なし・担保不要ですぐにご利用いただけるサービスです。面倒な書類提出や面談も、一切ありません。
まずは、お名前や電話番号など最低限の情報入力だけで済むユーザー登録(無料)を完了させてください。その後はすぐに会員ページから、代行申請へと進めます。
利用金額:100万円 先延ばし日数:60日 導入理由:売上の入金まで半年かかる取引が大半のため、経営が不安定であった 利用者の声:請求書アップロードも不要で手軽 | 導入事例:書籍出版業 株式会社アルファベータブックス様
利用金額:109万円 先延ばし日数:60日 導入理由:取引先の急な倒産に合い、手元資金が枯渇してしまった 利用者の声:請求書の登録が不要なうえ、スマホで簡単に利用できる | 導入事例:建設業 B社様
FAQ|よくある質問
ここでは、入金遅延に関してよく届く質問に回答します。メール例文や、仕訳方法など疑問のある方はこちらをご覧ください。
FAQ|よくある質問
Q.入金遅延時の催促メールはどう書く?
A.以下の例文を参考にしてみてください。
本文: ○○株式会社 ○○様 いつも大変お世話になっております。株式会社○○の○○(※必要であれば役職や部門なども)と申します。 ○○のお支払いについて、ご連絡いたしました。 ○月○日がお支払い日と伺っておりましたが、現在、入金が確認できておりません。 お忙しいところ誠に申し訳ございませんが、対応状況をご確認いただけましたら幸いです。 お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○○(名前) TEL:○○ Mail:○○ | 件名:○○のお支払いについて
一通目のメールは督促ではなく、あくまで確認に努めるのが無難です。
Q.入金遅れのお詫びメールはどう書く?
A.以下の例文を参考にしてみてください。
件名:【重要】○月○日期日の入金遅延のお詫び 本文: ○○株式会社 ○○様 いつも大変お世話になっております。株式会社○○の○○(※必要であれば役職や部門なども)と申します。 ○月○日のご請求に対し、入金が遅れております。誠に申し訳ございません。 手続き不備が遅延理由であり、すでに振込は済んでおります。(入金予定日:○月○日○曜日) 今後はこのようなことがないよう、管理体制を見直しておりますので、何卒今後ともよろしくお願いいたします。 また追って、謝罪とトラブルの詳細をお伝えする場を設けさせていただければ幸いです。 ご多忙のことと存じますが、ご訪問またはお電話可能な日時をご連絡いただけないでしょうか。 お手数をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。 あらためまして、この度は弊社の不手際により多大なるご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。 ○○(名前) TEL:○○ Mail:○○ |
遅延理由や対応状況の箇所は、適切に変更してください。
Q.売掛金の入金遅延時に遅延損害金は発生する?
A.発生しますが、契約書に記載がない場合は、請求を慎重に検討しましょう。
売掛金の入金が支払期日にされなかった場合、たとえ契約書に定めがなかったとしても、法定利率(※)に沿って遅延損害金を請求できます。(※)2026年3月31日までは年3%
ただし契約書に未記載の遅延損害金を求めた場合、取引先との関係性にヒビが入るきっかけになりかねません。実際に請求するかは、そのときどきの状況に応じて検討するのが良いでしょう。
Q.遅延損害金の勘定科目は何になる?
A.何であっても問題ありませんが、「雑収入」や「雑損失」として仕訳するケースが一般的です。
遅延損害金に関わらず、勘定科目の仕訳には、原則これといった決まりはありません。たとえば、「遅延損害金収入(または遅延損害金損失)」といった科目を独自で追加しても良いでしょう。
なお遅延損害金は非課税取引にあたるため、税区分は非課税売上または仕入れとします。
Q.取引先が入金に応じてくれないときはどうしたら良い?
A.まずは交渉を試みましょう。交渉決裂および連絡が取れなくなった場合には、起訴も検討します。
取引先との交渉が可能な状況なら、入金が難しい事情を詳しくヒアリングしたうえで、具体的な今後の方針を検討しましょう。たとえば、合意のうえで支払計画を立て公正証書を作成したり、動産や債券を用いた代物弁済に移行したりといった方法があります。
万が一、交渉に応じてくれないときには法的な手続きを検討しましょう。督促は自らでも可能ですが、法律相談所や弁護士に相談してから行動を起こすのが無難です。
まとめ
入金が遅延しているとき、また遅延してしまったときは、冷静に対処することが大切です。しかし何よりも大切なのは、遅延後の行動でしょう。
遅延がただのミスではなく、資金繰りに問題を抱えているのなら、「支払い.com」をご利用ください。取引先との信頼関係を損なうことなく、支払サイトを先延ばしにできます。
振込期日2日前(営業日)までの代行申請に対応しているので、目前に請求が迫っている状況でもお役立ていただけるでしょう。