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ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法15選!注意点もあわせて解説

ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法15選!注意点もあわせて解説

いわゆるベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、資金調達は喫緊の課題です。一定規模以上の企業であれば金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、実績がなく担保にできるような資産もないベンチャー・スタートアップは、通常の融資を受けられない可能性もあります。

しかし、創業間もないベンチャー・スタートアップだからこそ、十分な資金を調達しなければなりません。なぜなら、思い描いたビジネスプランを実現し利益を生み出すためには、潤沢な資金が必要だからです。当記事ではベンチャー企業やスタートアップ企業に焦点を当て、最適な資金調達方法をご紹介します。

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目次

ベンチャー・スタートアップにおける資金調達の重要性とは?

ベンチャー・スタートアップにおける資金調達の重要性とは?

ベンチャー・スタートアップにとって、資金調達は非常に重要な課題といえるでしょう。

なぜなら、思い描いたアイデアや技術を形にして新たなビジネスとして軌道に乗せるためには、多額の資金が必要だからです。例えば、製造ラインの構築や技術への投資、顧客を獲得するための宣伝広告費などを確保しなければなりません。

稼ぐ力の弱いベンチャー・スタートアップの場合、自己資金では賄いきれない可能性もあります。ベンチャー・スタートアップが成長していくためには、資金調達が必要不可欠なのです。

資金調達の3つの考え方

資金調達の3つの考え方

創業間もないベンチャー・スタートアップは、一般的な企業に比べると資金調達方法が限られます

ベンチャー・スタートアップが選択できる資金調達方法は、「エクイティファイナンス」「デットファイナンス」「アセットファイナンス」の大きく3つです。

ここでは、ベンチャー・スタートアップの資金調達に関する基本的な3つの考え方をご紹介します。

資金調達の3つの考え方

エクイティファイナンス

「エクイティファイナンス」とは、投資家に対し株式を発行して資金を調達する方法です。

株主から出資を受けた資金は返済の義務がなく、利息を支払う必要もありません。元本の返済や利息の支払いが必要ないことは、エクイティファイナンスの最も大きなメリットです。

一般的な融資によって資金調達するより、資金繰りに余裕が生まれます。

一方、株式保有比率によっては、投資家の意向を踏まえた会社経営を強いられる点がデメリットです。株主配当や株式公開に関する戦略など、事業以外の対応も必要となります。

デットファイナンス

「デッドファイナンス」とは、金融機関からの借入やコマーシャルペーパー(無担保の約束手形)・転換社債・私募債の発行などで資金を調達する方法です。決算書の貸借対照表では「負債の部」に記載され、期日までに返済して利息を支払う必要があります。

エクイティファイナンスとは異なり株式保有比率には影響しないため、株主対応が不要で株主還元などの施策を考える必要もありません。株式戦略から解放されることで、事業に集中できるのがデットファイナンスのメリットです。

一方、デットファイナンスはあくまで負債に該当するため、元本を返済し利息を支払わなければなりません。また、創業間もないベンチャー・スタートアップでは、そもそも借入できない可能性がある点はデメリットです。

アセットファイナンス

「アセットファイナンス」とは、企業が保有する不動産や、在庫・設備機械などの動産、掛取引にかかわる売掛債権などを売却することで資金を調達する方法です。

決算書の貸借対照表では「資産の部」に関する取引を行い、有形・無形の換金性が高い資産を売却して資金を調達します。アセットファイナンスは、金銭消費貸借契約に基づく借金ではなく、資産の売買契約です。

そのため、元金の返済や利息の支払い、株主還元などの必要がありません。金銭負担や株主対応の必要がなく、事業に集中できる点がアセットファイナンスのメリットです。

一方、土地建物や機械設備など大切な資産を売却してしまうと、その後の事業運営に多大な影響を及ぼしかねない点はデメリットといえます。

ベンチャー・スタートアップで資金調達が必要な3つのケース

ベンチャー・スタートアップで資金調達が必要な3つのケース

冒頭でもお伝えしたとおり、創業間もないベンチャー・スタートアップにとって資金調達は非常に重要です。ここでは、ベンチャー・スタートアップで資金調達が必要となる3つのケースについてご紹介します。

ベンチャー・スタートアップで資金調達が必要な3つのケース

ヒト・モノ・カネのリソースが不足している

事業を円滑に運営するには、ヒト・モノ・カネの3つのリソースを確保することが重要です。

稼ぐ力の弱いベンチャー・スタートアップでは、往々にしてこれらのリソースが不足する傾向にあります。

革新的なアイデアや技術をプロダクトに落とし込んで収益化するためには、とにかく「モノ」を形にしなければなりません。製造ラインの構築や技術への投資、原材料などの仕入れ、人材の雇用に必要な「カネ」が不足すると、製品開発のスピードは遅くなってしまいます。「ヒト」を雇用し製品開発を加速するには、「カネ」を確保する資金調達が必要不可欠です。

自己資金が乏しく売り上げが立っていない

ベンチャー・スタートアップの場合、革新的なアイデアや技術の構想はあるものの、プロダクトとして形になっていないケースはよくあります。

ですが、まだ製品化が実現できていなくても、製品開発や技術投資、宣伝広告には一定の資金が必要です。

資本に余裕がありすべて自己資金で賄えれば問題ないのですが、例えば「1円起業」したケースやまだ十分な売り上げを確保できていない場合は、資金の確保が課題となります。儲けを生み出す製品を生産するには資金が必要となるため、今後売り上げを伸ばしていくためにも資金調達は必須です。

事業継続に必要な運転資金が不足している

資本金が乏しいベンチャー・スタートアップの場合、事業継続に必要な運転資金の確保も重要な課題です。

運転資金とは、事業を運営していくために必要となる費用を指します。例えば、事務所・店舗・工場などの地代家賃、水道光熱費、人件費、税金などの「固定費」、原材料をはじめとした仕入れ費用、製造経費、外注費などの「変動費」は毎月負担しなければなりません。

運転資金が枯渇し、資金ショートを引き起こすと事業運営が滞ってしまいます。最悪のケースでは、売り上げは立っていても運転資金が不足し倒産してしまう、いわゆる「黒字倒産」に陥ってしまうかもしれません。売り上げの増加に合わせて仕入れ等にかかわる運転資金も増加するため、売り上げが増え始めたベンチャー・スタートアップは特に注意が必要です。

資金不足に陥らないよう、成長期には積極的に資金調達を行わなければなりません。

ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法15選

ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法15選

前章では、ベンチャー・スタートアップにおける資金調達の重要性を解説しました。実績が乏しく資産も少ないベンチャー・スタートアップにとって、いかに資金調達するかは頭の痛い問題です。ここでは、ベンチャー・スタートアップに最適な15の資金調達方法をご紹介します。

ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法15選

出資を受ける

ベンチャー・スタートアップと親和性の高い資金調達方法として、「出資」が挙げられます。出資はエクイティファイナンスとも呼ばれ、将来的な成長を期待した個人投資家や投資ファンドが株式を引き受け、対価として資金を提供することです。出資金は原則、元本を返済したり利息を支払ったりする必要がありません。ここでは、出資について詳しく解説します。

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

「ベンチャーキャピタル(Venture Capital:VC)」とは、株式未公開(未上場)のベンチャー・スタートアップなど新興企業に出資して株式を取得し、将来その会社が株式公開(上場)した際に株式を売却して大きな売却益、いわゆる「キャピタルゲイン」を獲得することを目指す投資会社や投資ファンドなどを指します。VCから出資を受けることで、財務状況が安定することは大きなメリットです。

財務状況が安定することで、一般的な融資も受けやすくなります。十分な資金が必要となる成長期のベンチャー・スタートアップにとっては、非常に有効な資金調達方法といえるでしょう。ただし、返済義務のない資金を得られる一方、VCが会社経営に干渉してくる可能性がある点はデメリットです。

エンジェル投資家からの出資

「エンジェル投資家」とは、創業間もないベンチャー・スタートアップなど新興企業に出資する個人投資家です。

新興企業に出資するという点ではVCと同様ですが、VCは投資ファンドなどが集団で出資するのに対し、エンジェル投資家は個人が自己資金を使って出資する点が異なります。

出資の手法や目的はVCと同様で、返済義務のない資金を得られる点がメリットです。個人投資家による出資のため機動力に優れ、事業計画さえ評価されればVCより迅速に資金提供を受けられる可能性があります。一方、エンジェル投資家との出会いの機会は少なく、依存しすぎると会社経営に干渉されるリスクがあることなどがデメリットです。

事業会社やCVCからの出資

従来のVCは銀行・証券会社・保険会社などの金融機関によって組成されるのが一般的ですが、近年は新規事業の開拓や自社とのシナジーを狙って事業会社が「コーポレートベンチャーキャピタル(Corporate Venture Capital:CVC)」を組成するケースが増えています。

CVCの場合は投資ファンドとは別の本業があるため、キャピタルゲインだけでなく、事業上の相乗効果を狙った投資を行うことが一般的なVCとは異なる点です。CVCが持つネットワークを活かして業務提携できたり、事業運営に関する助言を受けられたりするなどのメリットがあります。

事業拡大を目指すベンチャー・スタートアップにとって、CVCは強い味方となるでしょう。

融資を受ける

続いての資金調達方法は、デットファイナンスに分類される「融資」です。

融資は金銭消費貸借契約に基づくいわゆる借金に該当するため、元本の返済と利息の支払いが必要となります。

実績が乏しく資産の少ないベンチャー・スタートアップは融資を受けにくいのは事実ですが、大規模な資金調達を行うには必須の方法です。

ここでは、ベンチャー・スタートアップでも利用しやすい融資制度をご紹介します。

日本政策金融公庫の新創業融資制度

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした、創業・スタートアップを支援する制度です。

「創業融資」という独立した融資制度があるわけではなく、既存の融資を「無担保・無保証人」で利用する場合に併用する制度となります。

資金の使途は、新たに事業を始めるための開業資金、または事業開始後に必要となる設備資金および運転資金です。融資限度額については、本制度を利用する場合は併用する他制度の限度額にかかわらず3,000万円(うち運転資金は1,500万円)となります。

無担保・無保証人かつ低金利で利用できるため、担保や保証人を設定しにくいベンチャー・スタートアップに最適な融資制度といえるでしょう。

金融機関のプロパー融資

「プロパー融資」とは、保証などを付けずに直接金融機関と契約し、事業主の責任に基づき借り入れする方法です。企業の信用力に従い金融機関が直接融資するため、プロパー融資を受けること自体が信用力の向上につながります。他の融資を受ける場合でも、プロパー融資を受けた実績は有利に働くでしょう。

プロパー融資は、日本政策金融公庫を始めとした政府系金融機関に次いで低金利なのが大きなメリットです。一方、審査が非常に厳しいこと、場合によっては担保を求められること、融資の実行までに数週間から1ヶ月程度の時間がかかることなどがデメリットといえます。

信用保証協会の制度融資

「制度融資」とは、地方自治体・信用保証協会・金融機関が連携して提供する、小規模事業者や中小企業のサポートを目的とした融資制度です。

融資自体は金融機関が行いますが、信用保証協会が信用保証を提供するため、企業の信用のみに基づくプロパー融資より審査が通りやすくなります。融資に際し、信用保証料の一部補助を行ったり貸付資金の一部預託を行ったりするのが地方自治体の役割です。

万が一返済不能に陥った場合は、信用保証協会が債務の80〜100%を代理で弁済します。金利が低く、審査のハードルが下がるというメリットがある一方、一定の信用保証料を負担しなければならないこと、関連する組織・団体が多く融資実行までに数ヶ月程度の時間がかかることなどがデメリットです。

ノンバンク系のビジネスローン

ノンバンク系のビジネスローンとは、消費者金融や信販会社などが提供する事業性ローンです。

同じくノンバンク系に含まれるクレジットカード会社が提供する「ノンバンク系カードローン」を事業用途に利用することもできます。一方、銀行や信用金庫などの金融機関が提供する「銀行系カードローン」は事業用途での利用が認められていないケースがほとんどなので気をつけましょう。

ビジネスローンは審査のハードルが低く、信用力に劣るベンチャー・スタートアップでも利用しやすい資金調達方法です。審査の日数も短く、比較的短期間で融資を受けられます。ただし、金利が非常に高い点には注意が必要です。さらに、融資限度額は低く融資期間は短いため、利用する場合は慎重に検討しましょう。

補助金・助成金を利用する

続いてご紹介する資金調達方法は、補助金・助成金の利用です。国や地方自治体による補助金・助成金は原則として返済の必要がないため、資金力に乏しいベンチャー・スタートアップは積極的に利用すべき資金調達方法といえるでしょう。ここでは、ベンチャー・スタートアップでも利用しやすい4つの補助金・助成金をご紹介します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金(一般型)」とは、電子帳簿保存法や適格請求書等保存方式(インボイス制度)を始めとした制度変更、販路開拓、生産性向上などの取り組みに必要な経費の一部を補助する制度です。下記に該当する個人事業・法人・特定非営利活動法人が補助金の対象となります。

事業常時使用する従業員の数
商業・サービス業5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

申請類型は次の5つに分かれており、補助率・補助上限額は下記の通りです。

申請類型概要
通常枠自ら作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援を受けながら販路開拓等に取り組む小規模事業
賃金引上げ枠販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者
卒業枠販路開拓の取り組みに加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者
後継者支援枠販路開拓の取り組みに加え、アトツギ甲子園においてファイナリストおよび準ファイナリストに選ばれた小規模事業者
創業枠産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受け創業した、販路開拓に取り組む小規模事業者
申請類型通常枠賃金引上げ枠卒業枠後継者支援枠創業枠
補助率2/32/3(※1)2/3
補助上限50万円200万円
インボイス特例50万円(※2)

※1:赤字事業者の場合は3/4

※2:インボイス特例の要件を満たす場合は補助上限に50万円を上乗せ

補助事業として採択されれば、返済不要の資金を調達できます。一方、持続化補助金は事業完了後の清算払いとなるため、補助事業の遂行時には自己資金が必要となる点には注意が必要です。

ものづくり補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、働き方改革や適格請求書等保存方式(インボイス制度)を始めとした制度変更に対応するため、小規模事業者や中小企業が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善などに必要な設備投資等を支援する補助金です。主な補助対象者は、次の要件を満たす会社または個人となります。

中小企業者:資本金または常勤従業員数が下表の数字以下となる会社または個人

業種資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業・旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業3億円900人
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種3億円300人

特定事業者の一部:常勤従業員数が下表の数字以下となる資本金10万円未満の会社または個人

業種資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業10億円未満500人
卸売業400人
サービス業・小売業300人
その他の業種500人

申請枠は「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」の5つに分かれており、通常枠の補助金額・補助率は下記の通りです。

項目要件
概要革新的な製品・サービスの開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額従業員数 5人以下100万円~750万円
従業員数 6~20人以下100万円~1,000万円
従業員数 21人以上100万円~1,250万円
補助率1/2(※)

※小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

なお、ものづくり補助金は採択後すぐに給付されるわけではありません。補助金を受け取るためには、下記のスキームに基づき補助事業を実施する必要があります。

  1. 採択通知
  2. 交付申請
  3. 補助事業実施(10ヶ月間)
  4. 遂行状況報告・中間検査(交付決定3ヶ月後)
  5. 概算払い請求
  6. 実績報告・確定検査(補助事業完了時)
  7. 精算払い請求
  8. 事業化状況報告・知的財産権等報告(5年間)

ものづくり補助金は、事務局が必要であると認めた一部の概算払いを除き、補助事業実施後の精算払いとなる点に注意が必要です。また、補助金を受け取った後、5年間は報告義務が課されるため気をつけましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金」とは、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップをサポートする補助金です。その他、サイバーインシデントを起因としたリスクの低減や、デジタル化の推進を目的として申請類型も設けられています。補助対象者は、資本金と常勤従業員数が下表の数字以下となる会社または個人です。

中小企業

業種資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業・旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業3億円900人
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種3億円300人

小規模事業者

事業常時使用する従業員の数
商業・サービス業5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

申請枠は「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」の3つに分かれており、補助額の上限・下限と補助率は次のようになっています。

申請枠通常枠セキュリティ対策推進枠デジタル化基盤導入枠
A類型B類型デジタル化基盤導入類型
補助対象経費区分ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費サービス利用料(最大2年分)ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費
補助率1/2以内1/2以内3/4以内2/3以内
上限額・下限額5万円~150万円未満150万円~450万円以下5万円~100万円(下限なし)~50万円以下50万円超~350万円

IT補助金の対象は原則としてソフトウェア購入費やクラウド利用料などですが、デジタル化基盤導入類型については下記の範囲内でハードウェア購入費も補助の対象です。

ハードウェア購入費補助上限補助率
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機1/2以内10万円
レジ・券売機等1/2以内20万円

IT補助金は、DX化による経営課題の解決に最適な制度となっています。ただし、国の登録を受けた「IT導入支援事業者」の扱うITツールのみが補助の対象となるため気をつけましょう。また、インボイス制度に対応する場合は、持続化補助金のインボイス特例を併用するのもおすすめです。

創業補助金

創業補助金」とは、国や地方自治体が交付する補助金で、創業時に必要な経費の一部を補助する制度です。名称や要件は自治体によって異なっており、例えば東京都が募集している「創業助成事業」の概要は下記のようになっています。

助成対象者都内創業予定者または創業して5年未満の中小企業者等
対象事業要件都内に本店または主たる事業所等を有し活動を行う事業等
主な申請要件・都内の公的創業支援施設入居者・東京都および都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者・都内区市町村で産業競争力強化法に基づく認定特定創業支援等事業による支援を受けた方など
助成率助成対象経費の2/3以内
助成限度額300万円
助成対象期間交付決定日から最長2年間
助成対象経費創業初期に必要な次のような経費
賃借料/広告費/器具備品購入費/産業財産権出願・導入費/専門家始動費/従業員人件費など

都道府県だけでなく市区町村単位でもさまざまな補助金・助成金制度を実施しているため、会社の所在地や創業を予定している地域の公式Webサイト等を確認してみましょう。

その他の資金調達方法

資金調達の方法は、出資、融資、補助金・助成金だけではありません。ここでは、ベンチャー・スタートアップに適したその他の資金調達方法をご紹介します。

社債の発行

社債の発行はデットファイナンスと呼ばれ、少人数私募債などを発行して資金を調達する方法です。

あくまで負債に該当するため、事前に設定した償還日には元本を返済しなければならず、定期的な利息の支払いも必要となります。

少人数私募債は取引先・親類・知人など縁故者を対象としているため、簡易的な手続きで発行が可能です。株式発行とは異なり、経営権を失うリスクもありません。償還日を迎えるまでは毎月の返済が不要で、長期間の資金調達が可能です。

一方、償還日には元本を一括返済しなければならないこと、財務状況が悪いと発行できない可能性があること、などはデメリットといえるでしょう。

クラウドファンディングの実施

クラウドファンディングとは、主にインターネットを介して賛同者を募り、何らかのリターンと引き換えに資金を調達する方法です。

調達額は比較的低額ですが、エクイティファイナンスのような厳しい審査などはないため、迅速かつ手軽に資金を調達できます

ただし、クラウドファンディングは出資と引き換えに何らかのリターンを提供するのが原則です。リターンが魅力的ではないと出資者が集まらない可能性があること、出資者を集められてもリターンの提供には一定のコストと手間がかかること、などを覚えておきましょう。

ファクタリングの利用

ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらい現金化する方法です。

従来、掛取引にかかわる売掛債権は、支払期日まで現金化できませんでした。しかし、ファクタリングを利用すれば、支払期日前に現金化が可能です。ファクタリングは金銭消費貸借契約に基づく借金ではなく売買契約による売掛債権の買い取りのため、返済の必要はありません

ただし、利用には一定の買取手数料がかかるため、継続的に利用すると利益が目減りし資金繰りが悪化する可能性もあります。ファクタリングは、あくまで緊急時の資金調達手段と捉えておきましょう。

親類縁者からの借り入れ

少額の資金調達であれば、親類縁者から借り入れする方法もあります。

親類縁者からの借り入れであれば、返済期間なども自由に設定することが可能です。

ただし、借り入れする際は必ず借用書を作成してください。借用書のない状態で返済が滞ると、トラブルに発展するだけでなく、贈与とみなされ贈与税が課される恐れがあります。親類縁者といえども、借入時には必ず借用書を作成しましょう。

成長フェーズごとに最適な資金調達方法

成長フェーズごとに最適な資金調達方法

一口にベンチャー・スタートアップといっても、成長フェーズによって最適な資金調達方法は異なります。ベンチャー・スタートアップの成長フェーズは「シード期」「アーリー期」「ミドル期」「レイター期」の4つに分けるのが一般的です。ここでは、成長フェーズごとに最適な資金調達方法をご紹介します。

成長フェーズごとに最適な資金調達方法

シード期

「シード期」は、アイデアや技術がまだ具体的なプロダクトやサービスとして形になっておらず、これから事業を立ち上げていくフェーズです。創業間もないシード期は、実績が乏しくリスクも高いため、資金調達がしにくい時期でもあります。創業資金や運転資金、技術開発費用などは必要ですが、資金のニーズはそこまで高くないため、個人投資家やVCから少額の出資を受けて資金調達するケースが一般的です。シード期に最適な資金調達方法としては、下記の手段が考えられます。

  • エンジェル投資家からの出資
  • ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
  • 日本政策金融公庫の新創業融資制度

アーリー期

「アーリー期」は、プロダクトやサービスを市場投入して事業化し、エンドユーザーからのフィードバックによって事業を改善していくフェーズです。成長に伴い資金のニーズは高まる一方、リスクの高さと信用の低さで依然として資金調達がしにくい時期でもあります。

アーリー期は運転資金や設備資金など事業を拡大していくために必要な資金のニーズが高まるため、この時期にいかに資金を調達するかは大きな課題です。アーリー期に最適な資金調達方法としては、下記が考えられます。

  • エンジェル投資家からの出資
  • ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
  • 事業会社やCVCからの出資
  • 日本政策金融公庫の融資

ミドル期

「ミドル期」は、プロダクトやサービスが市場における一定の認知や評価を獲得し、さらなる事業拡大を目指すフェーズです。認知・評価の向上や事業規模の拡大などによって、徐々に資金調達がしやすくなる時期でもあります。

ミドル期は、固定費については売り上げで賄えますが、さらなる事業拡大や効率化のため追加の設備投資や人件費の増加によって資金のニーズが高まる時期です。ミドル期に最適な資金調達方法としては、下記が考えられます。

  • ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
  • 事業会社やCVCからの出資
  • 日本政策金融公庫の融資
  • 金融機関のプロパー融資
  • 信用保証協会の制度融資

レイター期

「レイター期」は、事業拡大や効率化によって経営基盤が安定し、リスクが低くなりつつあるフェーズです。株式上場(Initial Public Offering:IPO)を前提に、上場後も考慮した事業戦略を立てなければならない時期でもあります。IPOを目指す場合は、証券会社や監査法人などに支払う報酬など、新たなコストが発生するため、大規模な資金調達も必要となる時期です。レイター期に最適な資金調達方法としては、下記が考えられます。

  • ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
  • 金融機関のプロパー融資

資金調達する際の5つの注意点

資金調達する際の5つの注意点

ここまで、ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法をご紹介してきました。ベンチャー・スタートアップが資金調達するにはいくつかの注意点があるため、一つずつ確認していきましょう。

資金調達する際の5つの注意点

エクイティファイナンスを優先する

資金調達には、「エクイティファイナンス」「デットファイナンス」「アセットファイナンス」の3つの基本的な考え方があることを解説しました。まだ稼ぐ力の弱いベンチャー・スタートアップは、エクイティファイナンスを優先するのがおすすめです。金融機関の融資などのデットファイナンスは負債に該当するため、返済しなければなりません

一方、投資家からの出資などのエクイティファイナンスは資産に当たり、返済は不要です。資本の少ないベンチャー・スタートアップにとって返済は大きな負担となるため、返済の必要がないエクイティファイナンスを優先しましょう。

出資を受けると経営に介入されるリスクがある

返済が不要な資本性の資金を得られるなどメリットの多いエクイティファイナンスですが、出資を受けると経営に介入されるリスクがある点には注意が必要です。

株式保有比率によっては、エンジェル投資家やVCの意向を踏まえた会社経営を強いられる可能性があります。エンジェル投資家やVCは強い味方となる存在ですが、依存しすぎると経営権を失うリスクがあることも覚えておきましょう。

融資を受けると返済しなければならない

一方、デットファイナンスは元本の返済と利息の支払いが必要です。金融機関などの融資は金銭消費貸借契約に基づく借金に該当するため、毎月返済しなければなりません

ただし、エクイティファイナンスと異なり会社経営に干渉されるリスクがないこと、大規模で長期間の資金調達も可能なことなどメリットもあります。経営基盤が安定してきてさらなる事業拡大やIPOを目指す場合は、デットファイナンスを検討するとよいでしょう。

クラウドファンディングは最適な手法を選択する

クラウドファンディングというと、インターネット通販の延長として捉えている方も多いかもしれません。実は、クラウドファンディングは出資とリターンの仕組みに応じて6つに分類できます。

  • 購入型
  • 寄付型
  • 融資型
  • 株式投資型
  • ファンド型
  • ふるさと納税型

認知度が高いのは購入型クラウドファンディングですが、市場規模が最も大きいのは融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)となっています。クラウドファンディングを利用する場合は、自社に最適な手法を選択することが重要です。

資金調達には時間がかかる場合もある

資金調達には時間がかかる場合もある点に注意が必要です。日本政策金融公庫の融資、金融機関のプロパー融資、信用保証協会の制度融資などは、審査のため融資実行まで数週間から数ヶ月程度の時間がかかることもあります。融資実行までに運転資金が枯渇すると、黒字倒産に陥ってしまうかもしれません。資金繰りには十分注意し、資金調達は早めに行うように心がけましょう。

急な資金調達には「支払い.com」がおすすめ!

急な資金調達には「支払い.com」がおすすめ!

今回はベンチャー企業・スタートアップ企業における資金調達について解説しました。実績が乏しく資産もないベンチャー・スタートアップにとって、いかに資金を調達するかは喫緊の課題です。ベンチャー・スタートアップに最適な資金調達方法としては、VCやエンジェル投資家の出資、日本政策金融公庫や金融機関の融資、国や地方自治体の補助金・助成金などが挙げられます。

特に、返済の必要がない出資は有力な資金調達手段です。ただし、出資、融資、補助金・助成金で資金調達するには一定の時間がかかります。迅速に資金調達したい場合は、「支払い.com」のようなサービスを利用するのもおすすめです。

運営者情報

支払い.comは株式会社 UPSIDERが運営する請求書カード払いサービスです。

運営企業情報

会社名

株式会社クレディセゾン

代表者

代表取締役会長CEO:
林野 宏
代表取締役(兼)社長執行役員COO:
水野 克己

資本金

759億29百万円

本社所在地

東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60・52F

事業内容

ペイメント・リース・ファイナンス・不動産関連・エンタテインメント

上場証券取引所

東京証券取引所プライム市場

証券コード

8253

従業員数

4,319名 ※2021年3月31日現在
※上記従業員のほかに、嘱託、パート・アルバイトおよび派遣社員を雇用しており、その期中平均雇用人数は1,736名(1日7.5時間換算)

会社名

株式会社UPSIDER

代表者

代表取締役:宮城 徹
代表取締役:水野 智規

資本金

14,293百万円(資本準備金含む) ※グループ連結

本社所在地

東京都港区六本木7-15-7

事業内容

法人間決済サービスの企画・運営

出資元(敬称略)

WiL/ ANRI/ DNX Ventures/ グローバル・ブレイン/ DST Global Partners/ Greenoaks Capital/ Arena HD/ basepartners/ 新生銀行/ AGキャピタル/ Tybourne Capital Management/ 三菱UFJキャピタル/ セゾン・ベンチャーズ/ みずほキャピタル/ SMBCベンチャーキャピタル/ テンセント/ 日本航空/ SuMi TRUSTイノベーションファンド/ 北陸地域ベンチャー投資事業有限責任組合(QRインベストメント、Carbon Ventures)

登録

前払式支払手段(第三者型) 発行者登録
関東財務局長第00722号
PCI DSS v3.2認定事業者

加盟団体

一般社団法人日本資金決済業協会
Cloud Native Computing Foundation

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