売掛債権を売却する資金調達方法「ファクタリング」は、入金サイトが長期間に渡ったときに利用することが多いでしょう。しかし売掛債権の質が良いものでなくては、審査落ちしなくても高い手数料を取られやすく、手元資金に悩む状況下では手痛いところです。
そこでおすすめなのが、2022年から登場し始めた第3の資金調達方法「請求書支払い代行サービス」です。
本記事では、ファクタリングの審査基準を分かりやすく解説するとともに、請求書支払い代行サービスやビジネスローンなどそのほかの方法とも比較しました。
「保有している売掛債権はファクタリング審査に通りやすいのか」また「通らないときにはどうすべきか」を知りたい方は、ぜひご一読ください。
審査なしで資金調達するのにファクタリングは不向き
即日に対応したファクタリング業者はありますが、残念ながら審査がなしになることはありません。不安があったり、審査結果を待つ時間すらも惜しかったりする場合には、別の方法を検討するしかないでしょう。
以下では、ファクタリングの契約に審査が必須な理由を解説するほか、審査に落ちやすいケースについてもまとめました。保有中の売却債権がスムーズにファクタリングできるかをチェックしたうえで、今後の方針を検討しましょう。
審査なしで資金調達するのにファクタリングは不向き
ファクタリングの契約には審査が必須
ファクタリングの申し込みをすると必ず審査が実施されますが、これは適切な契約を結ぶためです。
たとえば「実在しない」や「売掛先の倒産により回収不可になる確率が高い」などの売掛債権を担保に契約しては、業者は不利益を被ってしまいます。
このようなトラブル回避のため、また適切な手数料を設定するためには、審査が必須なのです。
それにも関わらず「審査なしで即日OK」とうたうようなサービスがあれば、それは悪質なファクタリング業者である恐れがあります。どれほど緊急事態であっても、そのような業者の利用は避けましょう。
審査に落ちる理由に当てはまるなら、別の方法を
ファクタリング審査に落ちる可能性が高いのは、以下の理由に当てはまるケースです。
- 売掛先が個人事業主である
- 売掛先の住所や規模など、情報を詳しく把握していない
- 売掛先との取引実績が少ない
- 売掛先が経営や財務状況に難を抱えている
- 売掛先が過去に金融事故や税金滞納をしている
これらのうち1つでも当てはまる場合には、「売掛金を回収できない可能性が極めて高い」と判断されやすく、審査落ちしやすいでしょう。即日で資金調達が必要なのであれば、別の方法を検討したほうが良いかもしれません。
より詳しく審査基準を知りたい方はそのまま読み進めてください。ほかの方法を知りたい方は、「審査基準や審査時間で資金繰り方法を比較」へどうぞ。
ファクタリングの審査基準
ファクタリングの審査基準は、明確にされていません。しかし取引の仕組み上、ファクタリング業者は「売掛金回収の確実性」を重視するといわれています。そのうえで申込時に提出する情報も含めると、以下が主な審査項目だといえるでしょう。
ファクタリングの審査基準
このような項目からファクタリング業者は契約可能か否か、またどの程度の金利での契約が妥当か(※)を精査していると考えられます
※売掛金回収の確実性が低いほど業者はリスクを負うため、高金利での契約となります
売掛先の信用度
売掛先の信用度とは、主に支払い能力のことを指し、以下のような項目から判断されます。
- 実在する企業か(ペーパーカンパニーでないか)
- 倒産リスクが高くないか(規模、利益、業種など)
- 信用力のある企業であるか(金融事故や税金滞納をしていないか)
信用度の高い売掛先とは、大企業や公的機関が筆頭です。逆に規模の小さい企業ほど事業実態が分かりづらいこともあり、信用度が低いと判断されやすいでしょう。
売掛債権の健全性
売掛債権の健全性は、主に以下のような項目から判断されます。
- 不良債権(※)ではないか
- 二重譲渡(※)にあたるものではないか
- 実在するものであるか
※不良債権とは、経済価値が極めて低いもののこと
※二重譲渡とは、ひとつの売掛債権を複数の業者にファクタリングする違法行為のこと
「取引先が倒産して売掛金を回収できなくなる前にファクタリングしてしまおう」や、「二重譲渡や架空の債権でだまし取ろう」といった不正な申し込みを避けるための審査基準です。
過去の取引実績
過去の取引実績は、「売掛金を安定して回収できているか」の判断に使われます。一般的には預金通帳のコピーが証明に用いられ、長期間の取引歴を示せるほど審査には有利です。
逆に短い場合には、売掛金回収の確実性が低いと判断されやすいでしょう。「売掛先と口裏を合わせ、架空債権によるファクタリングを狙ってはいないか」を疑われる恐れもあります。
売掛金の支払期日
期日だけで審査落ちすることはあまりないといわれますが、このほかの審査基準との兼ね合いによっては、契約不可の決め手になり得るでしょう。
期間が空くほど、売掛先の経営状況が変化しやすく、未回収リスクが高まるためです。
また、支払いまでの期間が短いほどファクタリング業者の負担するリスクが減るため、低金利をはじめ好条件の契約を結びやすいでしょう。
契約者の信用度
ファクタリング審査では契約者の信用度もまたそこまで重視されないといわれますが、一切の確認がない訳ではありません。信用に値する人物であるかは、最低限見られるでしょう。
たとえば申請内容と確認書類が照合できなかったり、面談時の回答に不手際があったりした場合には、審査に響く恐れがあります。不備がないように慎重になること、また誠実な対応を心掛けましょう。
審査基準や審査時間で資金繰り方法を比較
ここでは、以下4つの資金繰り方法を審査の面で比較しました。「審査がゆるいものを選びたい」や「即日対応してくれるものが良い」など、要望に合った方法を見つけられるでしょう。
なお、即日・審査なしで利用したいのなら「請求書支払い代行サービス」一択です。そのほかの方法はいずれも審査があります。
審査基準や審査時間で資金繰り方法を比較
審査基準
資金繰り方法別の審査基準は、以下を参考にしてみてください。
方法 | ファクタリング | 担保融資 | ビジネスローン | 請求書支払い代行サービス |
審査の有無 | あり | あり | あり | サービスによる |
主な審査対象 | ・売掛先 ・売掛債権 | 担保品 | ・契約者 ・契約者の事業 | 契約者 |
審査難易度 | 二社間は高め | 担保次第 | 低金利なものは高め | 甘い傾向にある |
主な必要書類 | 売掛債権の証明書類、通帳のコピー、本人確認書類など | 担保品の各種証明書類、収入証明書類、返済計画書、事業計画書、本人確認書類 | 収入証明書類、商業登記簿謄本、本人確認書類 | サービスによる |
なかでも審査基準が低いといわれるのは、請求書支払い代行サービスです。
仕組み上すでにクレカの審査を通過している者しか利用できず、かつカード会社を挟んだ取引であることから、厳密な審査を必要としないためです。
請求書支払い代行サービスのなかには、審査なしですぐに利用できるものもあります。審査がなければ提出書類もないため、準備にも時間を取られません。
審査時間
資金繰り方法別の審査時間(平均)は、下表のとおりです。
方法 | ファクタリング | 担保融資 | ビジネスローン | 請求書支払い代行サービス |
審査時間 | 30分~1週間 | 1週間~4週間 | 30分~1週間 | 0分~2時間 |
審査なしもあり得るのは請求書支払い代行サービスのみなので、利用開始までのスピードは圧倒的です。
そのほかでは比較的ファクタリングやビジネスローンは早いですが、利用するサービスによって審査時間は大きく異なります。
この差は主に金利によるところがあり、低金利のサービスほど銀行や業者にとってリスクが高まる分、審査に時間をかける傾向にあります。担保融資は品にもよりますが、査定に時間がかかることが多く、急ぎの場合には不向きです。
即日・審査なしがあるのは「請求書支払い代行サービス」
即日・審査なしでの資金調達が必要ならば、まずは請求書支払い代行サービスを検討するのが良いでしょう。
- VisaやMastercardなど国際ブランドが提供するサービスを基にしているので安心
- 手数料がファクタリングやローンよりも安い
- 請求元がクレカ決済に対応していなくても利用可
- 支払いが実質、先延ばしにできる
以上のようなメリットがある請求書支払い代行サービスとは、期限が迫った請求を一時的に業者へと代行申請することで、資金繰りができる方法です。
口座振込による支払いが可能な請求であれば、どのような取引にも利用できます。現金が必要でない限りは、多くのケースで役立つでしょう。
すぐに審査なしで利用したいなら「支払い.com」
審査に対して不安を抱えていたり、審査時間を待てないほどの緊急時には、審査なしの「支払い.com」をぜひご活用ください。
支払い.comは、個人事業主や中小企業のサポートを主な目的として生まれたサービスです。登録無料・手数料4%で、どなたでも気軽に利用を開始していただけます。
すぐに審査なしで利用したいなら「支払い.com」
最短60秒で利用開始
支払い.comは、お名前や電話番号といった簡易的な個人情報だけで登録可能なサービスです。審査も面談もないため、最短60秒ですぐに利用を開始。ログイン後に振込先の情報を入力すれば、代行申請も即完了です。
代行の申請期限は振込指定日の2日前(営業日)までなので、目前に迫った請求でも対応しやすいでしょう。
なお審査なしに対応できるのは、長年金融事業を営む東証プライム上場企業「クレディセゾン」との共同運営で成り立つサービスであるためです。
利用金額:100万円 先延ばし日数:60日 導入理由:入金サイトが長期間にわたり、資金繰りに苦労していた 利用者の声:請求書アップロードが必要ないので手軽 | 導入事例:書籍出版業 株式会社アルファベータブックス様
利用金額:240万円 先延ばし日数:60日 導入理由:給与の支払いを当月払いにしており、慢性的にキャッシュフローが悪かった 利用者の声:普段から使っているクレカですぐに使える、2回目以降は履歴から簡単に代行申請ができる | 導入事例:建設業・ITその他 A社様
支払いの先延ばしでキャッシュフローが改善
請求の振り込みを支払い.comで代行すると、その時点で登録したクレカによる決済が行われます。
請求期日の間際に代行申請すれば、最低でも翌月まで支払いが先延ばしにできます。カードの締め日と請求日の関係性によっては、最大60日間の先延ばしが可能(※)でしょう。
※例:請求日が30日、カード締め日が15日(翌月末日払い)の場合…25日に代行申請で、翌々月払い
受注から入金までの期間が空くときや、起業間もなくまたは事業拡大中など、キャッシュフローが悪くなりやすいときに、支払い.comは有用です。
利用金額:400万円 先延ばし日数:60日 導入理由:工事の遅れに比例して入金サイトが延び、そのたびに資金繰りが苦しくなっていた 利用者の声:キャッシュフローが大幅に改善された、経営だけでなく精神的にも安心を得られた | 導入事例:建設業 株式会社 Reno Best様
手数料は4%
支払い.comの利用手数料は、4%です。同じく即日利用可能なファクタリング(平均5%~15%)やビジネスローン(平均3%~18%※年利)と比べても、手軽にご利用いただけます。
利率別の手数料比較
4% | 10% | 18% | |
10万円利用時 | 4,000円 | 1万円 | 1万8,000円 |
50万円利用時 | 2万円 | 5万円 | 9万円 |
200万円利用時 | 8万円 | 20万円 | 36万円 |
500万円利用時 | 20万円 | 50万円 | 90万円 |
資金繰りに悩む状況下では、手数料を抑えられるに越したことはないでしょう。
利用金額:800万円 先延ばし日数:60日 導入理由:入金サイトが90日で資金繰りに問題を抱えていた 利用者の声:800万円でもすぐに受け付けてもらえた、ファクタリングより圧倒的に手数料や安くて驚き | 導入事例:システム開発業 B社様
FAQ|よくある質問
ここでは、ファクタリングの審査について寄せられることの多い質問に回答します。これらの疑問を抱えているのならここで解消したうえで、改めてファクタリングの利用を検討しましょう。
FAQ|よくある質問
Q.どうしてファクタリングは審査がゆるい・甘いといわれるの?
A.ビジネスローンの審査と比較されやすいためでしょう。
- ビジネスローン……契約者(自社の実績や契約者自身)の信用が主な審査対象
- ファクタリング……売掛先への債権が主な審査対象
以上のような違いから、「自社の評価に自信がなくても、ファクタリングなら審査に通過できる可能性がある」といわれます。実際のところは審査基準が異なるだけで、ファクタリングの審査そのものが極めてゆるかったり甘かったりする訳ではありません。
Q.2社間ファクタリングと3社間ファクタリングとは?
A.取引に関わる企業の数によって、分類されます。
- 2社間ファクタリング……契約者、ファクタリング業者
- 3社間ファクタリング……契約者、ファクタリング業者、売掛先
2社間ファクタリングのメリットは、主に審査の早さと、売掛先に利用を知られないことです。
一方、3社間ファクタリングでは売掛先への確認作業が挟まれますが、その代わりに売掛金回収の確実性を高められます。結果、3社間は2社間よりも審査に通過しやすく、また低金利で契約を結びやすいでしょう。
Q.ファクタリング会社の審査通過率は本当?
A.本当だとしても、「審査通過率が高い=良い」ではないことを理解しましょう。
なかには審査通過率が90%超えの企業も見られますが、その詳細はまず明かされません。ふたを開けてみれば、「希望額よりも低い金額設定で契約を可決」するようなからくりで高確率を演出している可能性が高いでしょう。
また、一般的に審査基準は金利に比例します。基準を甘くするほど、企業は不利益を被るリスクが高まるためです。審査通過率が高い企業ほど手数料は高くつきやすい点にも、注意しましょう。
まとめ
ファクタリングを利用するには、必ず審査を受けなくてはいけません。売掛先や債券の信頼度が高い場合にはまず問題なく利用できますが、そうでない場合には難しいでしょう。
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