取引先からの入金が遅く、資金繰りに悩んでいる企業・個人事業主の方も多いのではないでしょうか。成果物を納品しても、入金が遅ければ次の仕事への着手が難しくなるケースもあります。信用にも関わるため、資金繰りを円滑に行うための方法を実践することが大切です。
ここでは、資金繰りに活用できる注文書ファクタリングについて解説します。メリットやデメリット、おすすめのファクタリング業者についても説明します。その他、資金繰りの調達手段で困った場合の解決方法もご紹介しますので、参考にしてください。
注文書ファクタリングとは?
取引先への売掛債権を買い取ってもらうファクタリングをご存じの方も多いかと思いますが、注文書ファクタリングは耳にしたことがないという方もいるでしょう。ファクタリングと似た仕組みではあるものの、内容に違いがあるため解説します。
注文書ファクタリングとは?
注文書を使って早めに資金調達する方法
注文書ファクタリングは、取引先から送られてくる注文書を買い取ってもらう方法です。取引先から業務依頼をされた場合、まずは自社から案件に関する見積書を送ります。見積りが承諾された後に取引先から注文書が届き、その内容をもとに業務を進めていきます。
注文書ファクタリングは注文書の買取のため、業務を進める前に資金を受け取ることが可能です。仕事に必要な道具があるものの、資金が不足し購入できない場合は、注文書ファクタリングを利用することにより、業務に必要なものを揃えた状態で始めることができます。
通常のファクタリングとの違い
注文書ファクタリングと通常のファクタリングの違いは、買い取り対象とする書類・資金を入手できるタイミングです。
ファクタリングは取引先に送る請求書の買取サービスなので、業務を終えた後でないと資金になりません。注文書ファクタリングは取引先から送られてくる注文書や発注書を買い取るサービスとなっているため、業務開始前に資金の入手が可能です。
取引先からの入金が遅れており、できるだけ早く資金を手に入れたいときはファクタリングを、業務開始前から資金難に陥っており、必要なものをそろえられないときは注文書ファクタリングといった風に使い分けるといいでしょう。
注文書ファクタリングのメリット
注文書ファクタリングには、通常のファクタリングにはないメリットがいくつもあります。メリットを知ったうえで利用したい方は、ここで紹介する3つのポイントを参考にしてください。
注文書ファクタリングのメリット
1)資金調達までのスピードが速い
注文書ファクタリング最大のメリットは、資金調達までのスピードが速い点です。いくつもの会社から提供されているファクタリングは、成果物の納品後に資金を手に入れることができます。
しかし、注文書や発注書の買取サービスであれば業務を発注された時点で資金に換えられるため、すぐにお金を入手できます。必要なものの購入費用として、経営に必要な部分への補填など、様々な用途で活用することが可能です。
ただし、注文書ファクタリングは前借りのようなイメージなので、業務終了後は報酬をもらえません。いち早く資金を入手した際は、今後を見据えた資金計画を立てることも重要です。
2)6か月先までの注文書に対応
買い取り対象となる注文書は最大180日先となっているため、最大6か月の入金期間を短縮できます。成果物を納品したからと言って、取引先からすぐに報酬が振り込まれることは少なく、入金までの期間が長いと悩む方も多いでしょう。
期間が長くなればなるほど経営難に陥りやすくなるため、状況が悪化する前に注文書ファクタリングの利用をおすすめします。入金サイクルを早められるため、すぐにキャッシュフローを改善させるために行動できます。
3)取引先にファクタリングを知られることがない
注文書ファクタリングは2者間契約で進められるため、取引先にサービスの利用が知られることはありません。ファクタリングには2者間・3者間契約があり、3者間契約の場合は申し込み者・ファクタリング業者・取引先の3社で進められます。
ファクタリングサービスの利用を通知された取引先によっては、相手企業に不信感を抱くケースもあります。資金繰りに問題がある会社として認識されると今後の取引にも影響が出る恐れもあるため、2者間で進めたほうが無難でしょう。
注文書ファクタリングのデメリット
注文書ファクタリングは入金サイクルを早められる、取引先に知られることがないメリットを持つ一方で、手数料や審査難易度といった見逃せないデメリットがあります。ここで4つのデメリットを解説するため、利用前に目を通しておくといいでしょう。
注文書ファクタリングのデメリット
1. 手数料が高額
注文書ファクタリングは手数料が高額になるため、資金を入手できたとしても、手数料分をファクタリング業者に支払わなければなりません。
ファクタリングの手数料相場は2者間で10~30%、3者間で1~9%です。注文書ファクタリングは2者間で+ 2〜5%となるため、12~35%の手数料が発生すると考えておきましょう。
手数料が高くなる理由は、未回収リスクが高まるためです。注文書ファクタリングは業務開始前に資金を入手する方法なので、サービス提供業者は成果物を納品し、取引先から入金されるまでの期間を待たなければなりません。
その期間中に成果物の未納品、取引先の破産といったことがあれば、入るはずだった資金を回収できなくなるため、通常のファクタリングに比べてリスクが高くなります。このことから手数料が高額に設定されていることを把握した上で申し込む必要があります。
2. 審査難易度が高い
注文書ファクタリングは未回収リスクが高いことから、厳しい審査に通過しなければなりません。通常のファクタリングに比べて審査時に見られる項目が多いため、申し込む際は自社の状況について詳細に説明する必要があります。
審査の際には過去の取引履歴や会社の経営状況などもチェックされるので、虚偽がないよう申告しましょう。情報に虚偽があると審査に落ちてしまうため、申込書の内容に誤りがないか、しっかりと確認したうえで提出しましょう。
3. 対応業者が少ない
注文書ファクタリングのサービスは登場してからの年月が浅く、提供業者はまだまだ少ない状況です。金融機関のように多くの会社が提供していれば選択肢の幅が広がりますが、限られた業者の中から良い条件を提示しているところを見つけなければなりません。
ただし、選択肢が少なければ業者選びがしやすくなる点はメリットだといえます。自社にとって重要視したいポイントを決めておき、ポイントを満たす業者を見つければすぐに依頼先が決まるため、業者選びで悩むこともないでしょう。
4. 個人事業主に対応する業者は特に少ない
個人事業主にも対応している注文書ファクタリング業者は非常に少ないため、さらに選択肢がせまくなります。企業間で発生する注文書の買取に対応するところはいくつかあるものの、個人事業主と企業の場合は対応不可とするところが多くなっています。
提供業者が少ないと納得できない条件での契約になる恐れがあるので、慎重に検討したうえで依頼を決めることが大切です。
注文書ファクタリングでおすすめの業者6選
注文書ファクタリングを検討している方におすすめの業者6選をご紹介します。業者によって特徴や手数料が異なるため、それぞれを比較したうえで、最も条件の合うところを見つけましょう。
注文書ファクタリングでおすすめの業者6選
ビートレーディング
ビートレーディングは注文書ファクタリングの他、通常のファクタリングサービスも提供している会社で、特徴は以下です。
- 無料見積もりは4種類の方法から選べる
- 必要書類提出から最短30分で買取金額の提示
- 契約方法を3通り用意
- 申し込みから最短2時間で契約完了
- 審査時間によっては即日振込も可能
- 2者間ファクタリングの手数料は4~12%
ビートレーディングではホームページの見積もりフォーム・電話・メール・LINEでの見積もり依頼に対応しています。必要な書類を事前に用意しておけば迅速に見積もり結果をもらえます。
見積内容に納得できた場合は、契約へと移ります。契約はオンライン・ビートレーディングへの来社、自社への訪問の3通りから選べるため、都合の良い方法を選択してください。ビートレーディングは東京・仙台・名古屋・大阪・福岡に支社があるため、数時間で移動できる範囲に住んでいる場合は対面契約も可能です。
契約締結の時間が17時までであれば、即日振込をしてもらえます。17時を過ぎた場合は翌営業日の入金となるため、急ぎで資金が必要な場合は間に合うよう申し込み手続きを済ませましょう。
ビートレーディングの注文書ファクタリングにかかる手数料は明確に提示されていませんが、2者間ファクタリングの手数料が4~12%となっているため、6~17%ほどの手数料を請求されるでしょう。
けんせつくん
けんせつくんは、建設業界の方を対象とした注文書ファクタリング業者です。請求書を買い取るファクタリングにも対応しているため、どちらでも依頼できます。けんせつくんの特徴は以下です。
- 審査開始から最短2時間で振込
- スマホのみで完結できる
- 年中無休で営業時間が長い
- 手数料は5%~
- 個人事業主にも対応
けんせつくんは審査開始から最短2時間程度で見積金額を振り込んでくれるため、急ぎで資金が必要な方にもおすすめです。申し込みはスマホ1つで完結できるので、パソコンを持っていなくても申し込めます。オンラインでの手続きとなるため、住んでいる地域も関係ありません。
手数料は5%~となっていますが、申し込み時に確認しておくと安心です。個人事業主にも対応してくれる業者のため、個人で建築業を営んでいる方はぜひ検討してみてください。
けんせつくんは年中無休、営業時間は9~20時までなので、仕事終わりに落ち着いて申し込み手続きができます。夜間に審査が完了した場合は翌営業日の振り込みになってしまいますが、自分の好きなタイミングで申し込みができることは大きなメリットだといえます。
GMO BtoB 早払い
GMO BtoB 早払いは、東証プライム上場企業であるGMOインターネットグループのメンバー会社が運営しているファクタリング事業で、特徴は以下です。
- 企業への信用度が高い
- 注文書・請求書どちらの買取も可能
- 契約完了後、最短2日で振込
- 査定シミュレーションの利用が可能
- 手数料は2~12%
GMOペイメントゲートウェイは東証プライム上場企業のメンバー会社なので、信用度が高く、安心して依頼できます。買い取り対象には注文書と請求書どちらも含まれるため、ファクタリング・注文書ファクタリングどちらも依頼可能です。
ホームページには査定シミュレーションが用意されているため、査定額が気になる方は申し込み前に試してみてください。シミュレーション結果の通りになるとは限りませんが、おおよその金額を把握できるでしょう。
契約完了後、最短2日で入金されるため、経営難に陥りそうな状態でもすぐに資金を入手できます。
BESTPAY
BESTPAYはフィンテック企業であるTranzax株式会社から提供されています。注文書買取をメインに行っている会社で、以下のような特徴があります。
- 最短翌日振込が可能
- 手数料は5%~
- ノンリコースなので安心
- 手数料のシミュレーションを利用可能
- オンラインなら24時間受付
BESTPAYは契約締結後、最短翌日に査定金額を振り込んでくれるため、急ぎで資金が必要な人も安心です。手数料は5%~となっていますが、申し込み前に明確な数字を把握することはできません。
しかし、BESTPAYでは手数料のシミュレーションができ、大まかな手数料を確認できます。業者選びの際に手数料を重視したい方は、シミュレーションを活用してください。
万が一取引先が支払い不能の状態に陥っても、未払い分はBESTPAY側が対応してくれるので、申し込み者に請求が来る恐れはありません。万が一のリスクに備えたい方にとって大きなメリットだといえるでしょう。
オンライン申し込みは24時間対応なので、都合の良い時間帯に依頼できます。
株式会社トップ・マネジメント
株式会社トップ・マネジメントは、多彩な商品を提供している会社です。注文書ファクタリングの他に、IT企業などを専門としたサービスであるペイブリッジ、2.5者間ファクタリングサービスの「電ふぁく」などを用意しており、以下のような特徴があります。
- 申し込みから契約までオンラインで完結
- 手数料は3.5~12%
- 即日入金が可能
- 手数料の減額措置を用意
株式会社トップ・マネジメントへの依頼はオンラインですべて完結できるため、来社して手続きを行う必要はありません。どこに住んでいても、スマホやパソコンで手続きを終わらせられるため、手軽に申し込めます。
手数料は3.5~12%となっており、申し込み者の状況に応じて変動します。申し込み後に手数料を確認するようにしましょう。株式会社トップ・マネジメントが指定する専用口座を開設すれば、利用手数料減額の措置を受けられるため、できるだけコストを抑えたい方は口座開設についても聞いておいてください。
契約締結後、時間によっては即日入金も可能です。すぐに資金が必要な方は、できるだけ早い時間帯に申し込むことをおすすめします。
支払い.com
支払い.comはファクタリングとは異なるサービスを提供しています。所有するクレジットカードを使って、銀行振込分を支払い.comに代行してもらい、後日クレジットカード会社に振込分を返済するといった流れです。
支払い.comの概要は以下の通りです。
最長延期日数 | 60日 |
---|---|
対応可能な支払い期日 | 最短1日後の支払いに対応 |
利用可能額 | 1万円〜カードの上限金額 |
手数料 | 一律4% |
支払い先への通知 | なし |
利用可能ブランド | SAISON CARD・MasterCard・VISA |
対象者 | 法人・個人事業主 |
審査/面談 | 不要 |
必要書類 | なし |
公式サイト | https://shi-harai.com/ |
また、支払い.comの特徴は以下です。
- 申し込み時に書類・審査なし
- 最長60日まで支払いを伸ばすことが可能
- クレジットカードを所有していればOK
- 最短60秒で審査完了
- 手数料は一律4%
支払い.comはクレジットカード会社のセゾンとフィンテック企業のUPSIDERが共同で提供しているサービスです。申し込み時に必要な書類はなく、審査もありません。最短60秒で手続きが完了するため、すぐに銀行振り込みを行わなければならないときにも活用できます。
セゾンカード、マスターカード、VISAのクレジットカードを所有していれば、新たにクレジットカードを発行する必要はありません。支払い.comに銀行振込分を代行してもらい、最長60日後に振り込んでもらった分を返済すればいいので、余裕をもって返済できます。
手数料は一律4%となっており、注文書ファクタリングよりも安く済むケースもあります。すぐに現金を仕入れる必要がなく、業務に必要な支払いを銀行振り込みにできるのなら、借り入れる必要のない支払い.comの利用がおすすめです。
法人も個人事業主も利用可能
支払い.comは事業形態を問わず、指定のクレジットカードを持っていれば利用できるため個人事業主も活用できます。注文書ファクタリングは個人事業主を対象外としているところが多いため、資金繰りが必要でも申し込みすらできないところが多くあります。
しかし支払い.comは法人・個人事業主を問わないので、資金難に陥っている個人事業主の方にはおすすめです。
注文書ファクタリングはどんな状況で活用できる?
注文書ファクタリングを利用したいけれど、自社の現在の状況に合っているかがわからないとお悩みの方もいるでしょう。ここで注文書ファクタリングを活用できる2つのケースについてご紹介しますので、当てはまる場合は早速申し込んでみてください。
注文書ファクタリングはどんな状況で活用できる?
仕事開始時に資金が足りないとき
取引先から受注した仕事を開始しなければならないけれど、人員確保や道具の購入などに充てる費用がないとお悩みの時は注文書ファクタリングはおすすめです。
人員を確保する際には人件費が、道具を購入する際には購入費がかかり、どちらも場合によって高額になります。資金難に陥っているときは捻出できないため、受注した案件の進捗に影響を及ぼすでしょう。
注文書ファクタリングで資金を入手すれば業務前の準備をスムーズに進められるため、自社の信用を失わずに済みます。
自社の資金だけでは費用を賄えないとき
創業当初で資産があまりない場合は、受注した業務内容によっては資金不足に陥る可能性もあるため、注文書ファクタリングを活用すると良いでしょう。
多くの会社は資産を保有しており、業務に必要な費用はそこから捻出します。しかし、資産額によっては必要な額が賄えないときもあるため、その際に注文書ファクタリングを利用すれば、不足分を補えます。
納品までの期間が長いとき
建設業の方は特に納品までの期間が長くなるため、経営状況が危ういときは注文書ファクタリングを利用することがおすすめです。取引先に成果物を納品し、チェックをして問題がなければ成果物に対する報酬が入金されます。
建設業は住宅などの建物をしっかりとチェックする必要があるので、確認に時間がかかり、納品までの期間も長引きます。その間に入金されることもないため、資金難に陥っている企業だと、より状況が悪化するかもしれません。
納品までの期間が長い、または納品から入金までのサイクルが長い企業と取引をしている際に活用してください。
注文書ファクタリングを利用するときの流れ
注文書ファクタリングを利用する際の流れは以下です。
- 依頼する業者を決める
- 契約に必要な書類をそろえる
- 申し込みフォームなどから申し込む
- 審査
- 通過後に契約を締結する
- 査定金額が振り込まれる
利用を決めたら、まずは依頼する業者を決めましょう。手数料や振込までの期間など、重視したいポイントをチェックしたうえで、条件の合うところを決めてください。依頼する業者が決まったら、申し込みに必要となる以下の書類を準備します。
- 受注実績がわかる書類
- 入金の有無がわかる通帳
- 本人確認書類
- 申込書
書類がそろい次第、申し込みフォームから申し込みましょう。申し込み後に審査が行われ、審査に通過していれば契約の案内が届きます。契約締結後、即日~2日程度で査定金額が振り込まれるので、振込に指定した口座を確認してください。
状況に合わせて資金調達方法を選ぼう
注文書ファクタリングは取引先から送られる注文書や発注書を買い取ってもらうサービスです。業務を受注した時点で資金を入手できるため、業務に必要なお金が足りないときに活用できます。
業務に必要なお金を銀行振込で支払うのなら、借り入れの必要がない支払い.comがおすすめです。必要な書類と審査がなく、最短60秒で手続きが完了するため、急ぎで振込を済ませなければならないときも安心です。
資金繰りの方法にはいくつかあるため、状況に合わせ最適な方法を選択しましょう。