ファクタリングは事業の資金繰りを支える一つの手段ですが、使い方次第ではかえって経営に悪影響を与えることもあります。ファクタリングをやめることを検討しているものの、資金繰りがショートするのが不安でやめられないケースもあるでしょう。
融資のような一般的な資金調達方法が利用できないからこそファクタイングを利用しているケースも多いため、いわば「ファクタリング地獄」から抜け出す解決策が見つからず困っている事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ファクタリングをやめる際に取るべき対処法やファクタリングの解約方法などを詳しく解説します。企業の財務改善税理士監修のもと、ファクタリング以外の資金調達方法についても幅広く紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
また、ファクタリング以外の資金調達を検討している場合は「支払い.com」がおすすめです。審査や書類提出は不要で、クレジットカードさえあれば最短60秒で手続きが完了しますので、まずは無料で登録してみましょう。
【理由別】ファクタリングをやめる方法
資金繰りに役立つファクタリングですが、以下のような理由でやめたくなる人もいるようです。融資との仕組みの違いを理解しないまま安易に利用すると、後悔してしまうこともあるでしょう。ここではケース別に対処法を解説します。
【理由別】ファクタリングをやめる方法
ケース1.高い手数料が負担になっており資金繰りが悪化している
ファクタリングの手数料が負担となり、かえって資金繰りが悪化するケースもあります。
建設業を営むA社は、受注した仕事を完遂するための人件費や材料費を賄うためにファクタリングを利用し、売掛金1000万円から手数料を差し引いた800万円を調達しました。
一時的には資金繰りが改善されましたが、経営状況の悪化により元の売掛金1000万円の返済が困難になり、別のファクタリングで資金を調達し返済に充てたそうです。この結果、自転車操業状態に陥り、経営が行き詰まりました。
ファクタリングでは手数料が引かれるため、売掛債権の売却から得られる資金は本来受け取る売掛金よりも少なくなります。つまり、手数料を上回る利益が得られなければ、返済が困難になる仕組みになっているということです。
手数料はファクタリング業者によって異なり、高額な手数料を請求する業者も存在します。金融庁も警告を発していますが、高手数料の業者を利用すると、資金繰りがさらに悪化し、多重債務に陥る可能性も少なくありません。
このようなケースでは、急にファクタリングをやめたり、融資など別の資金調達方法を探してもさらなる資金繰りの悪化を招くだけなので、ファクタリングと並行して資金繰り対策を考えるべきです。
ケース2.経営難で支払いが困難になった
2社間ファクタリングで、ファクタリング業者への支払いができなくなり、ファクタリングをやめたいと思うこともあるでしょう。
2社間ファクタリングは、売掛債権を売却してすぐに現金を得る方法ですが、売掛債権の額面金額と同額を1〜2ヶ月後にファクタリング会社に支払う必要があります。通常、取引先から売掛金が入金されればその金額をファクタリング業者に支払うため、特に問題は生じません。
しかし、経営が苦しい場合、入金された売掛金を人件費や融資の返済、税金などに使用してしまい、ファクタリング業者への返済が困難になることがあります。
もし取引先の業績悪化などで売掛金が支払われない場合、ファクタリングを利用している事業者は基本的に責任を問われません。
ただし、資金の使途が原因で支払いが滞ると、支払いへのプレッシャーをかける意味で、取引先に債権譲渡通知を送ったり、損害賠償請求を行ったりなど、厳しい取り立てが行われることがあります。
これにより自社の信用が大きく損なわれることもあるため、返済が滞りそうな場合は、まずファクタリング業者に相談しましょう。事情を説明し、納得できる理由を提示できれば期日の延長に応じてもらえる場合もあるかもしれません。
なお、ファクタリングは一般的な融資とは異なるため、法律上分割払いはできない仕組みになっています。分割払いを誘う業者は悪質であり、ヤミ金の可能性もあるので注意が必要です。
ケース3.資金調達の手数料を安く抑えたい
ファクタリングのおかげで資金繰り自体はうまくいっているものの、「もっと資金繰りを効率化したい」といった理由でファクタリングをやめたいと思うケースもあるでしょう。
融資の金利は利息制限法や出資法により20%が上限と定められていますが、ファクタリングの手数料には法律による規制が設けられておらず、業者によって大きなばらつきがあります。(※出典:日本貸金業協会「上限金利について」)
2社間ファクタリングの場合、20%〜30%程度の手数料が発生するケースも少なくありません。ファクタリング会社を乗り換えることや、ファクタリング以外の資金調達方法を検討することによって、手数料を抑えられる可能性があります。
また、ファクタリングの手数料は売掛債権の信用力によって決まるため、同じファクタリング会社でも、ファクタリング対象となる債権の種類を見直すことで手数料を削減できるかもしれません。
たとえば、信用度の高い大企業の売掛金を対象にすることで、リスクが低いと見なされ、より低い手数料での取引ができる場合もあるでしょう。
ケース4.今のファクタリング会社に不満がある
手数料や限度額、担当者の対応に満足していない場合、ファクタリングをやめたくなることもあります。このような場合、ファクタリング会社を乗り換えることで利便性が向上する可能性があります。
他社での利用実績がある場合、利用者や売掛先の与信調査にかかる時間が短縮され、スピーディーに融資を受けることが可能です。
ただし、「二重債権譲渡」にならないよう注意しましょう。二重債権譲渡とは、同一の債権を複数のファクタリング会社に売却する行為を指し、犯罪行為に該当します。
ケース5.取引先との関係性が悪化しないか不安
3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社と取引先の間に直接的な取引が発生するため、その利用が取引先に知られることになります。このままファクタリングを継続していると、取引先に悪い印象を与えるのではないかと不安に駆られてやめたくなるケースもあるようです。
その場合、2社間ファクタリングに変更すれば、取引先に通知が行かないため、ファクタリングの事実が知られることはありません。
もちろん、3社間ファクタリングには、手数料が2社間ファクタリングに比べて安く済むという利点があります。このため、手数料の節約と取引先との信頼関係を天びんにかけ、3社間ファクタリングの利用がメリットと感じる場合は継続する選択肢もあるでしょう。
しかし、株式会社セイビーの「ファクタリング(売掛債権譲渡)利用者への総合調査/2020年版」によると、2社間ファクタリングの利用者は62.0%に対して3社間ファクタリングの利用者は29.4%と、多くの事業者が取引先との信頼維持を優先して2社間ファクタリングを選んでいます。
ファクタリングをやめる前にやるべき5つの対処法
ファクタリングをいきなりやめると、資金繰りが急激に悪化する可能性がある場合は、まず以下の方法を試してみてください。運転資金を確保できれば、徐々にファクタリングに依存しない状況を作りやすくなるでしょう。
ファクタリングをやめる前にやるべき5つの対処法
請求書カード払いで買掛金の支払いを遅らせる
請求書カード払いとは、銀行振込の請求書を手持ちのクレジットカードで決済するサービスです。具体的には、利用者がサービス業者に請求書情報を提供し、業者が取引先の指定口座に請求書に記載された代金を振り込みます。
その後、クレジットカード会社がその代金とサービス手数料を合わせた合計額を利用者の口座から引き落とす仕組みです。このサービスの利点は、支払いを先延ばしにできることで、手元のキャッシュフローに余裕が生まれる点にあります。
銀行融資のような特別な審査が必要ないため手軽に利用できますが、ファクタリングと同じく一定の手数料がかかるため、その負担が重くなりすぎないようにするためにも、業者選びには注意が必要です。
取引先に支払いサイトを交渉する
資金繰りを着実に改善するためには、取引先と支払いサイト(内部リンク:支払いサイト)を交渉するのも一つの方法です。支払いサイトとは、取引の締め日から代金が受け渡されるまでの期間を指します。例えば、「月末締め翌月払い」の場合、支払いサイトは30日です。
売り手側から見れば、支払いサイトが短いほど売上金を早く受け取ることができ、キャッシュフローの改善に直結します。一方、買い手側は支払いサイトが長いほど支払いまでの猶予期間が延び、その分手元のキャッシュに余裕が生まれます。
ただし、自社の都合だけを押し付けてしまうと、交渉が難航する可能性があります。成功させるためには、相手にもメリットがある取引を提案することが重要です。
たとえば、支払いサイトの変更を受け入れてもらう対価として、一定の割引を提供することが考えられます。このように相互の利益を考慮した提案を行うことで、双方にとって有益な条件変更が実現しやすくなるでしょう。
融資のリスケを交渉する
融資のリスケとは、金融機関への返済が難しくなった場合に、返済条件を見直すことです。具体的には以下のようなものがあります。
- 返済期限の延長
- 返済額の見直し
- 一定期間、利息のみの返済
リスケにより月々の返済額が減少すれば、現金をより確保しやすくなり、結果として資金繰りが安定しやすくなります。
実際、金融庁の「貸付条件の変更等の状況について(令和2年3月10日から令和6年2月末までの実績)」によると、中小企業におけるリスケの申し込み件数は直近4年間で150万件以上に上り、そのうち98.9%がリスケ実施に至っています。
ただし、リスケを行っている間は、新規の融資を受けにくくなるという点には注意が必要です。
金融機関はリスケ中の企業をリスクが高いと見なすことが多いため、新たな資金調達が必要な場合は他の方法を探すか、リスケの条件下での追加融資について金融機関と交渉する必要があります。
不要な資産を売却する
ファクタリングの利用をやめたい場合、資金繰りの改善に向けて不要な資産の売却を検討することが有効です。この方法は、一時的な資金調達だけではなく、長期的にみれば保有している資産に関連する維持コストを減らすことにもつながります。
また、含み損のある資産を売却することは、税務上の利益を圧縮し、その結果として節税効果が期待できる場合もあるでしょう。
売却可能な資産としては、有価証券、不動産、自動車、会員権などが考えられます。ただし、いずれの場合も希望する価格で売却するためには時間がかかる可能性があることを理解しておきましょう。
経費を削減する
将来的にファクタリングの利用をやめるためには、経費削減に積極的に取り組むことが効果的です。
特に地代家賃、旅費交通費、水道光熱費、通信費など、固定費となりやすい項目の見直しは、継続的な支出削減に直結し、その結果として手元に残る現金が増えるため、非常に有益といえるでしょう。
地代家賃のコストを削減する一つの方法は、オーナーや管理会社に対して減額交渉を行うことです。市場価格の変動や競合物件の状況を踏まえたうえで、合理的な理由を提示して交渉を進めると良いでしょう。
また、旅費交通費に関しては、出張の必要性を見直すと共に、出張旅費規程を整備して無駄な出費を抑えることも効果的です。水道光熱費や通信費については、使用状況に応じた最適な契約プランに見直すことで、無駄な出費を削減できます。
これらの取り組みはすぐに効果が現れるとは限りませんが、ファクタリングに依存しない経営体質を築くために重要です。
ファクタリング以外の資金調達方法
ファクタリングの手数料が気になる場合は、以下の方法による資金調達も検討してみましょう。それぞれの手数料の目安やメリット・デメリットなどを解説します。
ファクタリング以外の資金調達方法
金融機関から融資を受ける
銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関から長期的な貸し付けを受ける方法です。
審査において事業計画や業績が金融機関から一定の評価を受けることが前提になりますが、他の資金調達方法よりも比較的低い手数料で高額を資金調達できる可能性があります。
手数料(金利)の目安 | 1.0%〜18.0% |
メリット | 低金利で大きな資金を調達可能 信用度が上がる |
デメリット | 審査が厳しく、時間がかかる 担保や保証人が必要な場合が多い |
手形割引を利用する
手形割引は、支払い期日が未到来の支払手形を金融機関に売却して現金を調達する方法です。数営業日で資金調達できるため、主に短期的な資金繰りに役立ちます。
手数料(金利)の目安 | 2.0%〜15.0% |
メリット | スピーディーに現金を手に入れられる 通常の融資よりも審査に通りやすい |
デメリット | 手形の金額を分割することは難しい 手形が不渡りになると買戻しが必要 |
補助金・助成金を申請する
政府や地方自治体が交付する補助金や助成金を活用して、資金調達する方法もあります。返済不要であるため、資金繰り改善の効果は大きいといえるでしょう。
手数料(金利)の目安 | 基本的にかからない |
メリット | 返済不要 |
デメリット | 申請が複雑で、採択されるまで時間がかかる |
当座貸越を契約する
当座貸越とは、普通預金内の残高が不足した時に、定期預金を担保にして、自動的に貸し付けを受けられる機能です。
手数料(金利)の目安 | 1.5%〜6.0% |
メリット | 借入ごとに契約は必要ない 限度額の範囲内であればすぐにお金を借りられる |
デメリット | 審査が厳しい 金利は高めに設定されている |
ABL(動産・債権担保融資)を利用する
ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する在庫や機械設備、売掛金などを担保にして融資を受ける方法です。所有している資産が少なく、土地や建物などを担保とする融資を受けられない場合でも利用しやすい資金調達方法といえるでしょう。
なお、ABLは金融庁も積極的な活用を推進しています。
手数料(金利)の目安 | 0.1%〜5.0% |
メリット | 業況に関係なく資金調達しやすい |
デメリット | 金融機関へ定期的な報告が必要 |
ファクタリングをやめる(解約する)際の注意点
ファクタリング契約を解約する場合は、未払いや二重譲渡にならないよう、以下の点に注意しましょう。
ファクタリングをやめる(解約する)際の注意点
現在の契約内容をチェックする
現在利用しているファクタリング会社との契約内容を詳細に確認し、契約期間や契約解除時のペナルティなどがあるかを確認しましょう。
ファクタリングは基本的に売掛債権ごとに単発で契約しますが、契約期間が定められており、その期間の売掛債権を全て買い取る契約になっている場合もゼロではありません。
放っておくと自動更新されるような内容になっている場合や、法外な解約手数料を請求するような内容になっている場合は、悪質業者の可能性も高いでしょう。契約内容に疑問や不明点がある場合は、法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。
ファクタリング業者への支払いが完了していることを確認する
ファクタリング契約を解約する前に、ファクタリング業者への支払いが全て完了しているかを確認しましょう。支払いが未完了の状態で契約を勝手に解約しようとすると、「踏み倒し」とみなされる可能性があります。
踏み倒しをしてしまうと、ファクタリング業者は取引先や売掛先に対して債権譲渡通知を送付することがあります。
これにより、ファクタリングを利用している事実や、場合によっては売掛金の不正な使い込みが公になるリスクが生じます。その結果、事業の信頼性が損なわれるだけでなく、取引先との関係にも悪影響を及ぼすことも考えられるでしょう。
さらに、債務不履行が原因で損害賠償責任を問われることや、最悪の場合、詐欺罪や横領罪などの刑事罰の対象となることもありえます。このようなリスクを避けるためにも、ファクタリング業者への支払い義務をきちんと果たし、法的に問題のない方法で解約することが重要です。
債権譲渡登記を抹消する
ファクタリングを利用する際には、債権譲渡登記を行うことがあります。債権譲渡登記は、売掛金の所有権がファクタリング会社に移ったことを示す重要な手続きです。
そのため、一度債権譲渡登記を行った債権については、その登記を抹消しない限り、他のファクタリング会社を利用して同じ債権を再度譲渡すると、二重譲渡の疑いをかけられるリスクがあります。
登記の抹消については司法書士に依頼することが一般的です。司法書士への依頼費用として数万円が必要になることが多く、さらに登録免許税として1件につき1,000円がかかります。
まとめ
ファクタリングは資金繰りに役立つ手段ですが、使い方を誤ると経営に悪影響を及ぼすことがあります。高額な手数料や経営状況の悪化によって、返済が困難になることも少なくありません。
このような状況から脱却するためには、ファクタリング以外の資金調達方法にも目を向け、計画的にキャッシュフローを改善することが重要です。
資金繰りの方法をお探しの事業者の皆様には、多くの企業が導入している請求書カード払いサービス「支払い.com」の利用をおすすめします。このサービスは、一般的なファクタリングよりも手数料を大幅に抑え、資金繰りを改善できます。