ファクタリング取引は、非課税取引の一つである「有価証券等の譲渡」に該当すると考えられています。そのため、基本的にファクタリング取引で調達した現金や買取手数料に対しては消費税が発生しません。
一方で、役務(サービス)の提供に関わる費用については消費税がかかります。せっかくファクタリングを利用しても、消費税の負担が重くなってしまうのであれば、キャッシュフローの改善にはつながらないのでは?と考えるのも無理はないでしょう。
そこでこの記事では、ファクタリング取引が非課税になる理由や、消費税がかかる取引の例などをわかりやすく解説します。税理士監修のもと、ファクタリングにかかる消費税のシミュレーションも紹介していますので、ファクタリングを利用する前に確認してみてください。
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ファクタリング取引において消費税がかからない理由とは
ファクタリングによる資金調達には、原則として消費税が発生しません。消費税の根本的な仕組みを知っておけば、非課税となる理由も理解しやすくなるでしょう。
ファクタリング取引において消費税がかからない理由とは
消費税の仕組み
消費税は、商品やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税金です。消費者が負担し、課税期間(法人は事業年度、個人事業主は暦年)の末日の翌日から2ヶ月以内に、事業者が納付します(間接税)。
取引の段階ごとに標準税率10%(うち2.2%は地方消費税)が課税されますが、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除できるようになっているため、二重三重に税金がかからないような仕組みになっています。
たとえば製造業者A社が原材料を100万円で仕入れたとしましょう。このときA社は消費税10万円を含めて110万円を支払います。この原材料で製品を製造し、200万円で販売する場合、取引先に対しては消費税20万円を加えて220万円を請求します。
このとき、A社が納税する消費税額は売上に係る消費税20万円から、仕入れに係る消費税10万円を控除した10万円です。なお、酒類・外食を除く飲食料品については軽減税率が適用されるため、税率は8%です。
消費税の課税対象になる取引
原則として国税庁が定める以下の条件を全て満たす取引については、消費税の課税対象です。
- 国内での取引
- 事業者が事業として行う取引
- 対価を得て行う取引
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供にあたる取引
ただし、以下3つの取引については消費税がかかりません。
取引の概要 | 取引の具体例 | |
非課税取引 | 課税対象になじまないものや社会政策的配慮から国税庁が消費税の課税対象から外している取引 | ・土地の譲渡、貸付け・有価証券、支払手段の譲渡・利子、保証料、保険料・埋葬料・火葬料 |
不課税取引 | 日本国内で事業者が事業として対価を得て行う取引に該当しない取引 | ・給与、賃金・寄附金・保険金・株式の配当金 |
免税取引 | 輸出類似取引のうち輸出証明書の保管など、一定の要件を満たした取引 | ・商品の輸出・国際輸送・外国にある事業者に対するサービスの提供 |
ファクタリングは非課税取引の中に含まれる「有価証券等の譲渡」にあたると解釈されているので、ファクタリングの取引では原則として手数料がかかりません。
ただし、一部の手数料については消費税がかかることもあるので注意しましょう。詳しくは後述します。
ファクタリングにおいて消費税がかかる取引
ファクタリングで発生する以下の費用については、例外的に消費税が課されるケースがあります。それぞれ詳しくみていきましょう。
ファクタリングにおいて消費税がかかる取引
債権譲渡登記にかかる費用
ファクタリングには、ファクタリング会社と事業者の間で契約をする「2社間ファクタリング」と、2社だけではなく売掛先が契約に加わる「3社間ファクタリング」があります。
3社間ファクタリングでは、手続きの中で債権譲渡通知を行うため、売掛先に対して債権の存在を確認することが可能です。
しかし、2社間ファクタリングでは、債権が二重譲渡された場合、ファクタリング会社が売掛金を受け取れなくなるリスクがあるため、債権譲渡登記を求められる場合があります。
債権譲渡登記でかかる主な費用は以下の通りです。
- 司法書士に支払う報酬
- 登録免許税
- 印紙代(印紙税)
司法書士に支払う報酬は、役務に対して支払う費用なので課税対象です。一方、登録免許税や印紙代は、二重課税になるので非課税となります。
事務手数料
ファクタリング会社によっては審査や契約締結など、事務手続き全般にかかる費用を「事務手数料」として請求するケースがあります。
事務手数料は「事務手続き」という役務の提供の対価であるため、消費税の課税対象とするケースが一般的です。国税庁が金銭の貸付時に締結する事務手数料を課税対象としていることからも、課税される可能性が高いと考えられます。
出張費用
ファクタリング会社が利用先企業に出向いて審査や契約手続きをする際に、出張費用を請求するケースがあります。
出張費用は出張手数料と、出張にかかる実費(主に交通費)に分けて考える必要があります。出張手数料は役務の対価として課税対象となるケースがほとんどです。一方、交通費は内税(料金内に消費税が含まれている)で二重課税になってしまうため、非課税です。
振込手数料
ファクタリング会社からの代金を銀行振込で受け取る際に、事業者が振込手数料を負担する場合があります。振込手数料については、基本的に消費税の課税対象です(出典:三菱UFJ銀行「振込手数料一覧」)。
ファクタリングにおいて消費税がかからない取引
ファクタリングによって調達した資金や、売掛債権の買取にかかる基本的な手数料については、国税庁が定める「非課税取引」に該当するため、消費税がかかりません。
ファクタリングにおいて消費税がかからない取引
売掛債権売却益
ファクタリングによって得た現金(売掛債権売却益)は、国税庁が非課税取引として定めている「金銭債権などの譲渡」に該当するため、課税されません。
(2) 有価証券等の譲渡
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
国税庁「No.6201 非課税となる取引」
たとえば、ファクタリングで売掛債権を売却し、500万円を手に入れた場合、その500万円に消費税はかからないということです。
買取手数料や保証料
買取手数料は、売掛債権を売却することで期日前に現金化する「買取ファクタリング」で発生する手数料です。一方、保証料は、売掛先の代金支払いを保証してもらう「保証ファクタリング」で発生します。
これらの手数料については「役務の提供の対価」という側面はあるものの、金銭債権の譲受対価として非課税になるとされています(出典:国税庁「金銭債権の買取り等に対する課税関係」)。
ファクタリングにかかる消費税のシミュレーション
以下の条件に基づいてファクタリングをした場合、消費税がいくらかかるのかシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーションの前提条件】 ・売掛債権の額面金額:1,000万円 ・買取手数料:100万円 ・債権譲渡登記費用:10万7,500円(司法書士報酬10万円、登録免許税7500円) ・事務手数料:3万円 ・出張費用:6万円(出張手数料4万円、交通費2万円) ・振込手数料:400円 ・印紙税:200円 |
上記のうち、消費税が発生する取引を合計すると、司法書士報酬10万円+事務手数料3万円+出張手数料4万円+振込手数料400円=17万400円です。この金額に対して、17万400円×10%=1万7,040円の消費税がかかります。
このケースにおいてファクタリングを利用した会社が受け取れる金額は、売掛金の額面金額1,000万円から、手数料合計額(119万8,100円)と消費税(1万7,040円)を差し引いた878万4,860円です。
ファクタリングで消費税が発生した時は内訳をチェック!
ファクタリングにかかる手数料は多岐にわたるため、請求内容がわかりにくいと感じることも少なくありません。悪質な業者の場合、本来非課税となる費用を消費税がかかる手数料として請求してくるケースもあります。
先述した通り、ファクタリングで消費税が発生するケースはさほど多くありません。売掛債権の売却によって調達した現金や買取手数料は非課税になるので、数万円〜数十万円の消費税が発生するケースは稀です。
ファクタリング会社から消費税を請求された場合は内訳を入念にチェックし、とくに高額な消費税が発生している場合は、不当な請求をされている可能性を疑ったほうがよいでしょう。
また、手数料の内訳を開示せずに、手続きにかかる手数料を「売掛債権の○%」の形でまとめて請求するファクタリング会社もあります。内訳がブラックボックスになるというデメリットはあるものの、どの項目で消費税が発生しているのかをいちいち考える必要はありません。
手数料が適正水準に収まっているのであれば、このように明朗な手数料体系を採用しているファクタリング会社を利用するのもひとつの手です。
ファクタリングとインボイスの関係は?課税売上割合に影響する?
ファクタリングで調達した現金や手数料には消費税がかかりません。そのため、基本的にファクタリングの契約書や領収証などにインボイス番号の記載は不要です。
また、ファクタリングを利用しても「仕入税額控除」において、課税仕入額を正確に判定するために必要になる「課税売上割合」にはほとんど影響しません。
仕入税額控除とは、消費税の二重課税を防ぐために、売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を差し引く制度です。取引の中には非課税や不課税となる取引も含まれるため、正確な控除額を算出するために、課税売上割合を計算する必要があります。
課税売上割合は「課税売上高÷総売上高」で求めることが可能ですが、ファクタリングは消費税非課税であるため、利用に伴い課税売上高が増えることはありません。したがって課税売上割合にも影響しないと考えてよいでしょう。
ただし、事務手数料や出張費用など、消費税がかかる費用が発生した場合は、インボイス番号の記載が必要になり、課税売上割合へ影響する可能性もあります。課税関係が複雑になった場合には、正しい申告方法を税理士や税務署に相談してみましょう。
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まとめ
ファクタリングは国税庁が定める非課税取引に該当するため、売掛債権を売却することで調達した資金や、買取手数料に対して消費税がかかることはありません。しかし、事務手数料や出張手数料など一部の手数料には消費税がかかることがあります。
本来消費税がかからない取引に対しても上乗せで課税を行う、悪質なファクタリング会社もあるため、ファクタリングを利用する際は不当な請求がないか、内訳を必ず確認しましょう。
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